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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府
- 元記事公開日:
- 2014/03/15
- 抄訳記事公開日:
- 2014/04/11
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ナノテクノロジー・イニシアティブ戦略計画最新版
- 本文:
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ホワイトハウスは3月、ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)に関する戦略計画を発表した。同計画書にはNNIのビジョンとゴール、及びそれらを実現するための戦略が書かれている。計画の中には、2003年に制定された「21世紀ナノテクノロジー研究開発法( 21st Century Research and Development Act)」で要請された投資戦略とプログラム構成が含まれており、NNIのビジョン実現に向けた具体的な方向性が特定されている。当該計画は2011年2月のNNI戦略計画を改訂したものである。
NNIのビジョンは、社会に便益をもたらす業界や技術の革新に貢献するナノスケールの事柄を理解し、活用できるようにすることである。NNIは参加機関のミッションに添ったプログラムを通し、ナノスケールの科学、エンジニアリング、技術の発見、開発、適用を支援する。NNIの4つのゴールは以下の通り:
ゴール1:世界に誇るナノテクノロジーR&Dプログラムを進める
NNIは様々な発見やイノベーションを活性化させることで、世界における米国のリーダーシップを支援している。イニシアティブでは生物、化学、エンジニアリング、素材科学、物理へと対象となる研究の幅を広げ、今後も研究を支援する。ゴール2:新技術を製品化・商用化へ発展させる
NNIはナノテクノロジーに関する知識を実用化させるため、社会と経済へ最大限貢献できるような戦略を導入する。ゴール3:ナノテクノロジーを促進するための教育機関、技術者の育成、インフラを開発・維持する
ナノテクノロジーの研究開発には科学・工学に特化した技術者、最先端の機材や設備が不可欠である。また、次世代のナノ技術者(研究者、発明家、専門家など)を育てるためには、一般社会や政策立案者、ステークホルダーなどへの教育も重要な役割を担う。ゴール4:ナノテクノロジーの責任ある開発を支援する
NNIではナノテクノロジーの便益を最大化させると同時に、それらの管理に関する潜在的危険性を認識している。中でも環境・健康・安全(EHS)に関する研究、教育、協力、コミュニケーションを重視し、プログラムを開発する予定。また、新興技術に関する省庁間政策調整委員会が提案した新技術に関する規制の大まかな枠組みを基に、大学、業界、政府機関(地方、州、連邦レベル)、非政府機関及びその他関係者との連携を深めていく。関係機関がNNIビジョンの実現に向けて進むにつれ、評価の測り方も検討する必要がある。例えば、進捗状況に関する評価として、ゴール1:様々な専門家が協力して行う活気のあるR&Dにより、知識が深まる;ゴール2:ナノテクノロジー応用製品(NEP)が商品化される;ゴール3:一般社会がナノテクノロジーに関する情報を容易に取得し、技術力の高い専門家が育成され、科学者・技術者が最先端の設備を活用できる;ゴール4:危険を特定する道具が開発され、各省庁はナノテクノロジーの応用を進めると同時に、ステークホルダーにたいするEHS情報が開示される;などを一つの指標とする。
なお、2015年会計年度に予定されているプログラム構成は以下の5つである。
1.Nanotechnology Signature Initiatives (NSIs) :NSIは複数の省庁間にわたり、将来性のある事業に焦点を充てている。具体的には以下の通り。
・太陽エネルギー集光と変換のためのナノテクノロジー
・持続可能なナノ製造(Nanomanufacturing)
・2020年及びその後に向けてのナノエレクトロニクス
・ナノテクノロジー知見インフラ(NKI)
・センサーのためのナノテクノロジー及びナノテクノロジーのためのセンサー
2.基礎研究:物理学、生物学、エンジニアリング科学の分野で起こるナノスケールの発見、現状に関する研究。
3.ナノテクノロジーが使用可能なアプリケーション、機器、システム:既存の機器やシステムにナノスケール科学を応用し、改善するためのR&D。
4.研究インフラと機器:ナノスケール科学、エンジニアリング、技術に関する人的・設備的インフラを開発、支援、促進するための設備、ネットワーク、主要機器、労働環境の構築と運用。
5.環境・健康・安全(EHS):ナノテクノロジーの開発に伴う環境、健康、安全への影響を分析するR&D及びそれに関連するリスクアセスメント、リスク管理、リスク回避の手法を分析。 [DW編集局]