[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2014/03/19
抄訳記事公開日:
2014/04/14

2015年大統領予算要求:AAAS解説

The President's R&D Budget for FY 2015: A Summary and Charts

本文:

AAASは3月19日、オバマ大統領が4日に発表した2015年度予算案に対する解説記事を発表した。自由裁量で増やせる予算がほとんどない中、それでも優先順位の高い再生可能エネルギーとエネルギー効率、先進製造、インフラ・交通関連技術に関するプログラムは多めの配分を受けた。また、R&Dに関しては既存の予算上限に対して53億ドルの追加予算がつく可能性があり、これを活用することで様々な科学・イノベーションの研究を支援することができる。

2015年度予算の基本情報は以下の通り:
・AAASの見積もりでは、大統領のR&D関連予算要求は1365億ドル。これは2014年比0.5%増(インフレ率は1.7%)となり、インフレを考慮すると2013年度からはほぼ横ばい。
・国防R&Dは707億ドル、2014年比0.3%増。このうちNNSAの予算は増加されるものの、DOD予算は削減される。
・非国防予算は658億ドル、2014年比0.8%増。
・全体の研究予算(基礎研究、応用研究を共に含む)は659億ドル、2014年比1.9%(13億ドル)減。削減理由は主に国防関連の研究予算が減ったため。逆に開発費用はDOD、NASA、DOEでの活動が活性化し、20億ドル(3%)増加する。
また、大統領は「機会・成長・安全イニシアティブ(OGSI)」を通じ、560億ドルの予算を国防・非国防両分野に追加したい意向。そのうち53億ドルがR&Dに費やされる予定。
・OGSIが議会で承認されれば、R&D予算は結果的に60億ドル、2014年比4.4%増加する予定。国防・非国防とも最低4%は増加する・

・R&D予算は裁量予算の11.1%に相当する。これは、過去30年の平均と同等であるが、裁量予算自体が予算全体の30.4%と減額傾向にあり、2019年には24.6%まで減る予測。
・結果としてR&D予算は2015年度の大統領要求ベースで全体予算の3.4%まで減る可能性がある。
・OGSIからの追加予算で少しは改善されるものの、連邦政府のR&D予算はGDPの0.78%に納まり、2014年と同等となる。

・AAASの分析では、R&D予算がインフレ調整後に増額したのはDOE、USGS、NIST、DOTといったところのみ。しかし、全体的に強制削減を進めた時よりも多い予算が確保された。
・各省庁の実支給額は減額されたかのようにみえるが、裁量予算の支出曲線を下回ることはない。
・OGSIからの追加予算は、インフレ調整などによる差額を埋めるのに役立つことになる。例えばNIHの1%減を2%増に転じさせる。
・R&D予算が比較的潤沢に確保されたのはDOE。しかし。非国防関連で見てみると、省エネルギー、再生可能エネルギー、送電網技術関連、ARPA-Eは大幅増となったのに対し、科学局は例年通りで、核エネルギーや化石燃料関連のプログラムは減額となった。NNSAはR&D予算が増額となったものの、全体予算は横ばいとなり、R&Dに特化すると予測される。
・また、NASAも多くの予算を確保した。特に産業界とパートナーシップを組む商業乗組員プログラムなどが増額された。
・DOD科学技術予算は減額となった。これは基礎研究、応用研究、先端開発研究、DHPを通じた医学研究全てに該当し、2014年比10.3%、14億ドルの減。特に医学研究予算が57.8%7削減された。一方、DARPAは若干増額となる。
・NIH予算は減額傾向にあり、2015年度の大統領の要求額は2005年度のピーク時に比べて11・8%、40億不変ドル減となる。NIHの中では神経科学、BRAINイニシアティブ、メンタルヘルスなどが増額対象となる。
・DHSのR&D予算は大幅に削減される。これはカンザスに建設予定のバイオセーフティーレベル4の施設の建設予算が大幅に減らされたため。他のR&Dは例年通りであり、国内の核検出局はむしろ増額となる。

[DW編集局]