[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2014/03/12
抄訳記事公開日:
2014/04/24

高等教育・研究に関する国際的活動の調整

La coordination de l'action internationale en matière d'enseignement supérieur et de recherche

本文:

高等教育・研究省の2014年3月12日報道記事では標記報告書を公表し、その概要を解説している。概要から主要部分を抜粋要約して以下に記す。

本報告では、非常に多数の高等教育・研究関係機関およびこれら関係機関の外国での強い存在感により、国際的に実施される活動の多様さを指摘している。調整組織は複数存在するが、それにもかかわらず多様な方法、目的、領域、関与方式の特徴を有する特定分野での各施設、政府、EUレベル間の調整は困難な状況にある。本報告では国際的な比較要素を考慮に入れた上で、国際的競争に対応する能力のある研究施設の組織化を支援すること、研究・高等教育国家戦略と科学外交との間の均衡を確立するべく国の施策の重点課題を定めること、上記枠組において関係機関の有する手段と外交ネットワークの適切な運用を確保することを提案している。

本報告は外務省の監査部門および国民教育・研究行政監査部門が合同で実施したミッションの結果である。高等教育・研究に関する国際的活動の調整、とりわけ科学外交における実行機関の取り込みとその主体的行動を吟味することが目的とする。

第1部は高等教育・研究に関するフランスの国際的活動の主たる要素の記述に充てられている。ここでは大学や研究施設を「物理的に」外国に設置することの重要性、調整組織の多様性、国際的活動に特化した施設の特殊性に焦点を当てている。研究機関または高等教育施設の多数の国際協力活動を網羅的の記述しているわけではないが、外国での極めて強い存在感、複数の調整組織の存在と言った特徴を有し、常に発展膨張している複雑な状況が見えてくる。

第2部では全般的な活動状況の分析を行い、上記様々な仕組みの利点と欠点を明らかにしている。(協力と競争の間に緊張が見られることはあるが)自由な科学者交流では、「高等教育・研究に関する世界市場」の拡大、あるいは2国間外交関係の次元、戦略・安全保障の次元、国際機関への参画の次元、開発支援の次元での公権力行使拡大の論理に遭遇する可能性がある。

高等教育・研究に関する国際的活動の調査から見えてくる複雑さ、さらに言えば混乱の印象は、その方法の多様性とフランスのような先進国の高等教育・研究制度の多様性を反映しているに過ぎない。

ここでの分析では、国や様々な関係機関が備える数多くの調整組織を無視して科学外交と研究・高等教育国家戦略との間で適切な連携関係を構成することの困難さを強調している。国、EUレベル、研究活動の各主役のそれぞれの役割の再定義をする必要がある。

第3部では次の3つの主要領域の各々で実施されるべき施策の提言を行っている。
・能力と求心力を自ら備え、国際的にも知名度が高く、役割が明確に定められている調整組織に参加している施設(複数)の組織化の動きの支援
・全国的に組織化され刷新された協議の場でしっかり確立された重点課題の設定
・このようなミッションに充てられる手段の合理的な活用

[DW編集局+JSTパリ事務所]