[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
政府科学庁
元記事公開日:
2014/05/30
抄訳記事公開日:
2014/06/18

政府主席科学顧問による記事: データ共有による利益と政府の役割

Government must make the case for you to share

本文:

政府科学庁の2014年5月30日付標記記事の概要は以下のとおり。右記事は、マーク・ウォルポート(Sir Mark Walport)政府主席科学顧問が執筆したもので、UK版「Wired」誌2014年6月号が初出。

工業化、大量輸送、インターネットは、我々の生活、国家、地球を一変させた技術革命である。我々一人ひとりに関するデジタルデータが急増したことにより、新たなチャンスとチャレンジが生まれた。

そのようなデータは、利益をもたらしリスクを軽減する触媒となるべきものである。個人的にも経済的にも、データの共有によって得られるものは計り知れない。デロイト・コンサルティングの見積もりでは、2011年~2012年期だけで英国の公共セクターの価値は約18億ポンドであった。データを共有することで、研究、通信、メディア購読、売買などが可能になる。その見返りとして、企業は製品を開発し、科学者は研究を行い、政府はデータを使用して選挙の実施、政策の広報、税の徴収、より良い公共サービスの提供を可能にしている。

個人データの使用に関して言えば、その利益が明確である場合は簡単である。運転免許の更新時には喜んで自分のデータを提供し、Amazonは自分が見逃したかも知れない本を推奨してくれる。

上記のような利益が長期的で広範な公共の利益に適うものである場合、政府の役割は大きい。例えば、研究者に匿名の診療記録の利用を許可するなどである。このような機会があることを国民に想起させるのは政府の仕事だが、実のところ医療データに関しては実現までになお時間を要している。同様に、民間セクターにおいて匿名化されたデータを共有することで得る利益もある。

政府および民間セクターには、個人データが激増したために生じるリスクから社会を護る責任もある。最大のリスクは、一見したところ匿名化されたデータセットを悪意を持った何者かが個人IDを解読するための別のデータセットと結合させた結果生じるかもしれない。リスクに対する最善の対処法は、リスクを特定して管理することである。蓄積データと個人がどの程度関連しているか、技術面の防壁の強度、望ましいレベルでプライバシーが監視されているか、これらはいずれも重要である。

データ機密性は、データを共有するかしないかという二者択一の問題ではなく、次のような状況に依拠する。

・データの内容
・個人に関係する側面
・目的
・備えているセキュリティや管理のレベル

政策の議論は上記のような微妙な差異を踏まえて行われる必要がある。

[DW編集局]