[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 原子力・代替エネルギー庁(CEA)
- 元記事公開日:
- 2014/05/20
- 抄訳記事公開日:
- 2014/06/19
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公的研究機関および大学の責任者による声明
Déclaration de responsables d’organismes publics de recherche et d’universités
- 本文:
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原子力・代替エネルギー庁(CEA)の2014年5月20日標記報道発表では、CEAなど国立研究機関(国立農学研究所:INRAを除く)11機関および大学学長会議の各々の長、計12名が連名でINRAを全面的に支援する声明を掲載している。2010年にINRAの遺伝子組み換え実験を妨害した54名をこのほどコルマール高等裁判所が釈放する決定をしたことに対するものである。
声明は「科学コミュニティの名において我々は本日、国立農学研究所に対する全面的支持と、それに反してこの5月14日に下された裁判所の判断の結果に対する強い懸念を表明するものである」と前置きして概略次のように述べている。
遺伝子組み換え操作を施したぶどうの株を使用して科学試験を行っていた畑の全面を2010年に「刈り取って」破壊した54名をコルマール高等裁判所はこのほど釈放したが、この試験の目的はぶどう畑に広く蔓延するウィルス性の病気に対する耐性のメカニズムの研究のほか、このような遺伝子組み換えが環境に及ぼす影響の可能性を調査研究することであった。この研究試験は模範的な方法で市民社会と共同で組み立てられたもので、200回以上の公開会合の機会が与えられており、商業的意図は全くなかった。特にこの研究業務は法によって詳細に定められた許可手続きや実験方式の対象となっており、INRAは細心の注意を払ってそれを遵守していたのである。
我々は公的研究機関および大学の責任者として、上記のような状況の結果に関して市民の注意が喚起されることを厳粛に望む。我々は、一部の技術がその利用や有用性との関連で、また問題解決の糸口が見えないことで、合法的に引き起こされる社会的論争を十分に認識する責任のある研究者である。同時に、環境リスクや公衆衛生上のリスクを予知するなど重要な課題の解決に役立てる目的で、科学に対する市民の期待がこれまでになく大きいことも、我々は承知している。そのような状況下で、我々は革新的な技術を一定の管理下で実験する可能性をすべて断念しなければならないのか。実験を断念するということは、我々の未来を共同で向上させようとする行動を否定することになる。
[DW編集局+JSTパリ事務所]