[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国宇宙庁
元記事公開日:
2014/05/16
抄訳記事公開日:
2014/06/27

英国の宇宙開発の今後 - 宇宙担当大臣へのインタビュー

Meet the Minister for Space

本文:

英国宇宙局が発行する宇宙業界誌「space:uk」第40号(2014年春季号)の16~19ページでは、英国の宇宙プログラムおよび英国宇宙局の業務を管轄するデイビッド・ウィレッツ(David Willetts)ビジネス・イノベーション・技能省/大学・科学担当大臣がインタビューに応えている。英国の宇宙開発の今後について触れた主要部分を抜粋要約して以下に記す。

Q: 最近の発言で、今の時期を英国における宇宙の新時代と述べているが、その意味は?
A: まず第1に、極めて特異なことではあるが、英国は過去20年間打ち上げシステムを全く持っておらず、NASAのような大規模な国立の中心的技術機関を持たなかった。結果、我々は、より機敏に、より民間の資金を活用することができ、他の先進経済諸国ほどには大型の打ち上げロケットに費用を投じてこなかった。今や資金繰りは苦しく、従来型の宇宙ロケット技術は新規参入者の挑戦を受け始めており、突如として英国モデルが宇宙の未来に非常にふさわしく見えてくる。各国の閣僚の多くも英国に注目しており、官民の活動に異なるバランスを求めている。彼らは、従来型の大型ロケットに多くの予算を充てることを望んでいない。第2に、英国はその偉大な歴史と高い評価を活用して、国際舞台でより積極的に出ることができる。2012年12月の欧州宇宙機関(ESA)閣僚会議ではそのような積極的役割を演じることができた。また、英国のティム・ピーク(Tim Peake)宇宙飛行士が飛行の機会を得たことも喜ばしいし、宇宙協力は政府の施策リストの中でも上位にある。

Q: 打ち上げロケットについて言えば、政府は英国でReaction Engines社が組み立てるSkylon宇宙往還機用のSABREエンジンの開発に資金を投入しようとしているが。
A: 私が見るところでは、従来型の大型で公的資金を投じた打ち上げモデルは今や寿命が来つつある。しかも少なくとも2つの脅威にさらされている。1つはVirgin Galactic社の衛星打ち上げやReaction Engines社などの新技術である。2つ目はSpaceX社のようなプロバイダの登場による新しい商用モデルの存在である。この2つを合わせると、今後20年の打ち上げシステムには過去40年間になかったより急激な変化が到来すると考えられる。このようなめまぐるしい変化こそ英国にとって大きなチャンスであり、それが Reaction Engines社への資金支援を決断した理由の一つである。

Q: 英国が宇宙基地を備えることにも言及しているが、その点は?
A: 英国が宇宙基地を備えるという考えは、可能なことであり検討しているところであるが、最終的な結論には至っていない。空域を使用するにあたってはかなり微妙な問題がある。宇宙基地を海岸部におくべきとの議論が目立つが、幸い英国には海岸が豊富にある。

[DW編集局]