[本文]

国・地域名:
スイス
元記事の言語:
英語
公開機関:
スイス国立科学財団(SNSF)
元記事公開日:
2014/05/22
抄訳記事公開日:
2014/06/27

オープン・データ

Open data and the NSA affair

本文:

スイス国立科学財団(SNSF)の2014年5月22日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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オープン・データを推進する動きは、ほぼ社会全体に広がっている。このため今日では、たとえばデジタル・コンテンツは自由に利用され(オープン・コンテンツ)、コンピュータ・プログラムは閲覧、修正され(オープン・ソース)、公的データは検索され(オープン・ガバメント)、教育課程は無料で履修することができる(オープン・エデュケーション)。

この影響は研究界にも及んでおり、目下、科学文献への自由なアクセスに対する需要が主要な話題の一つとなっている。オープン・アクセスを進めるこうした動きの背景には、商業出版物を読者が自由に利用できるようにするという高尚な目標がある。こうした出版物は、実際には公的資金の財政的支援を受けているからである。

昨年8月、欧州委員会は、「出版物の大半が間もなく自由に利用できるようになる」と高らかに発表した。だが、この新しいシステムには波及効果もある。出版物に論文を投稿する際に研究者が負担する費用がかなり増えることになるのだ。このためスイス国立科学財団(SNSF)は、オープン・アクセス・ジャーナルに論文を発表する研究者に金銭的な支援を行っている。このような選択は正しい。知識と学問の自由な普及を促すからである。

研究者にとって、オープン・アクセスへの動きは最初の一歩に過ぎない。次の大きな課題は、発表された成果物のデータに対する自由なアクセスである。これは、データの保存と共同利用に関する複雑な問題を提起することになろう。だが、このような展開は、研究界にとって肯定的な意味も持つ。科学実験の再現性というまったく新しい文化を生み出すことになるからである。この数年、この問題は非難の的となっている。しかし科学にとって、これは極めて有用なことである。科学的研究を成功に導く上でまさに基礎をなすものだからである。オープン・データを進める動きは、このような点においても我々の役に立つものとなろう。

[JSTパリ事務所]