[本文]

国・地域名:
フィンランド
元記事の言語:
英語
公開機関:
フィンランド国立技術研究センター(VTT)
元記事公開日:
2014/05/08
抄訳記事公開日:
2014/06/30

短期化した薬剤スクリーニング・プロセスを利用して、新たな抗がん性化合物を発見

Finnish researchers discovered a new anticancer compound using accelerated drug screening process

本文:

フィンランド国立技術研究センター (VTT)の2014年5月8日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===

フィンランド国立技術研究センター(VTT)の技術研究センター(Technical Research Centre)、Turku大学およびEastern Finland大学の研究者のチームが、これまで知られていなかった、がん細胞を殺傷する能力を持つCent-1分子(Cent-1 molecule)を発見した。これらの研究では、コンピュータを利用し、細胞をベースにした化合物のスクリーニング法により、従来よりも速く、また低コストで新たな抗がん剤の候補となる物質を識別できることが明らかにされている。

VTTで主任研究員(Principle Scientist)を務めるMarko Kallioが率いるこの研究プロジェクトの目的は、臨床使用において選択された薬剤や開発段階にある治験化合物と同様の結着性と細胞表現型を持ちながら、化学構造が異なる新しい化合物を特定することで、創薬プロセスを加速することである。

研究者は、コンピュータを利用したスクリーニングと細胞をベースにした分析を組み合わせることで、創薬プロセスに要する時間を大幅に短縮し、ひいては開発費の削減につながる方法を生み出した。この方法を用いて特定された新しい化合物は、まだ特許を取得していない可能性が高い。

この研究は、抗がん剤のリゴサチブが、報告されているように標的遺伝子を抑制しなかったことを証明したという点でも意義深い。つまり、この薬剤が分子レベルで予想とは異なる作用メカニズムを持つと信じるに足る根拠があるということだ。今回の創薬に関連した研究は、2014年4月刊行の『Molecular Cancer Therapeutics』で発表された。

新薬の開発には、費用も時間もかかる。通常は、完成までに時間にして10~15年前後、費用は数百万ユーロを要する。また医療用物質の有用性や治療効果、マーケット・シェアなどに関連したリスクが確認されるのは、一般に創薬の最終段階である。

[JSTパリ事務所]