[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2014/06/10
抄訳記事公開日:
2014/07/02

欧州委員会が政策文書「新たな成長の源としての研究イノベーション」を発表

COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEANPARLIAMENT, THE COUNCIL, THE EUROPEAN ECONOMIC AND SOCIALCOMMITTEE AND THE COMMITTEE OF THE REGIONSResearch and innovation as sources of renewed growth

本文:

欧州委員会は、2014年6月10日に標題のコミュニケーション(政策文書)を発表した。以下にその概要をまとめる。

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欧州委員会は、本日、「新たな成長の源としての研究イノベーション」という政策文書を発表した。これは、”Europe 2020” 成長戦略における”Innovation Union”の最も重要な戦略を実施するために2010年から行われてきた措置について詳しく述べられている「2014年度Innovation Union白書」を根拠にして作成されている。

本書では、新たな成長の源としての研究イノベーション(R&I)の潜在力を最大限に生かすために、以下の要素が非常に重要であるとまとめられている。
・成長に資する財政再建のために、加盟国は特にR&Iに関する成長促進支出を優先する必要がある。
・これらは、企業投資の活用による方法も含めたR&Iへの公的支出の質と量と影響力を増加させるための改革と連携しながら実施される必要がある。
・そのために、加盟国は、「3つの改革主軸」(後述)に注力する必要がある。
・加盟国のR&I改革の成功のために、欧州委員会は”Innovation Union”と”欧州研究圏(European Reserch Area)”によって得られた経験を活用し、政策形成や予算決定に対する総合的で科学的データに基づくアプローチを支援していく。

前述の「3つの改革主軸」として、加盟国に対して本書で提案されている内容は以下の3つである。
(1)戦略的成長の質と政策決定プロセスの改善:
・R&Iは、多くの政策領域に影響を与え、多くの当事者を巻き込むため、包括的な戦略によって推進され、必要な高さの政治的レベルで取り組まれるべきである。こうした戦略は、研究とイノベーションの両方の活動を網羅するべきである。
・政策設計は、R&Iの長期的な影響を考慮に入れて、安定した多年度にわたる戦略的枠組みと公共投資の将来計画のもとで行われるべきである。

(2)R&Iプログラムの質の改善:
・加盟国がR&Iへの公的助成金を設ける場合、既存の学問・技術・産業分野毎でなく、主要な社会的課題に焦点を当てたものを増やすべきである。
・プログラムを通じた公的支出の質は、公募を活用した競争原理に基づく資金配分をすることによって向上させることができる。こうした公開競争は、特定の経済・社会的目標をターゲットにしたプログラムにも適用されるべきである。
・R&Iプログラムは、企業に馴染みのある利用しやすいものである必要があり、それには管理上の負担を削減したり、助成交付までの時間を早くしたりするなどの方法ある。

(3)研究イノベーションを担う公的機関の最適化:
・R&Iの公的財政支援の大部分は、大学や公的研究所などに機関助成金として提供される。よって、これらの機関は、起業家的な精神で、新しい機会と欧州外も含めた産業との新しいパートナーシップを探し求めることを推奨される必要がある。
・これらの機関は、優秀な研究者が働く場所としても魅力的である必要がある。

欧州委員会は、欧州理事会に、本書に沿ってR&I投資の質の向上に関する議論を始めるよう要請している。

[DW編集局]