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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 報道センター
- 元記事公開日:
- 2014/07/02
- 抄訳記事公開日:
- 2014/07/17
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欧州委員会が循環型経済に向けた高いリサイクル目標を提案
- 本文:
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欧州委員会は、2014年7月2日に「新しい雇用と持続可能な成長を伴う循環型経済への移行に向けた高いリサイクル目標」というタイトルのプレスリリースを発表した。以下にその概要を紹介する。
===欧州委員会は、本日、欧州をより循環型経済にし、加盟国内でのリサイクルを促進する提案をしている「循環型経済へ向かって(Towards a Circular Economy)」という政策文書(以下、コミュニケーション)を採択した。新しい廃棄物削減目標によって、58万の雇用が生み出されると見込まれている。また、本提案は環境負荷の低減と温室効果ガス排出削減も意味している。本計画では、2030年までに一般廃棄物の70%。包装容器廃棄物の80%をリサイクルし、2025年時点でリサイクル可能な廃棄物の埋め立て処理を禁じている。本目標には、食品廃棄物削減に加えて、海洋漂流ゴミ削減も含まれている。
本提案は、現行のEU指令における廃棄物削減目標を強化するためのものであり、一方通行型からより循環型の経済へ本質的に移行しようとする意欲的な動きを背景にしている。新しいビジョンは、採掘した原材料を一度使って廃棄するのとは異なる経済モデルに立脚している。循環型経済では、リユース(再利用)・リペア(修理)・リサイクル(再生利用)は当然のことであり、廃棄物は過去のものである。資源を生産的に長く使い、高効率で再利用することで、EUの国際競争力は高まっていくだろう。この方法は、リサイクル資源市場におけるイノベーション・新しい経済モデル・エコデザイン・産業共生が、ゼロ廃棄物経済社会の実現にどうつながっていくのかを説明するコミュニケーションの中で明確に述べられている。
本コミュニケーションでは、新しい成長と雇用創出の機会がより効率的な資源利用を通じてどのように実現するのかが示されている。より高い効率性を可能にするのは、廃棄物を資源に変えるための革新的なデザイン、より高性能で耐久性の高い製品及び製造工程、将来を見通したビジネスモデル、技術進歩であろう。本コミュニケーションで示された政策パッケージは、循環型経済を実現するのに役立つ枠組みの創出を目指している。そのためには、より良く相互連結した政策、効果的な規制、研究イノベーション分野からの活発な支援が必要である。また、資源生産性は「原料消費量あたりGDP」(GDP/Raw Material Consumption)を基準に測定されるべきであり、来る”Europe 2020戦略”のレビューで2030年までに30%改善という目標が設定される可能性が高いということも、本政策パッケージで提案されている。
なお、本イニシアティブは、以下の補完的なコミュニケーションと同時に採択された。
・ 「グリーン雇用イニシアティブ」
・ 「中小企業のためのグリーン・アクション・プラン」
・ 「建築部門における資源効率化の機会」
これらのイニシアティブによって、今後の新たな資源効率アジェンダが提案されるだろう。●次のステップ
この法制に関する提案は、欧州理事会と欧州議会を通過するところである。
資源生産性目標の達成状況は、”欧州セメスター”(European Semester)という制度のもとで監視される。こうした目標は、”Europe 2020戦略”の中間レビューの対象であると考えられている。循環型経済に向けた研究イノベーションの取り組みは、強化されていくだろう。循環型経済を推進するための政策枠組みは、将来に渡ってさらに発展していくだろう。●背景
この法制に関する提案は、主に”Waste Framework Directive”(廃棄物枠組みに関する指令)・ “Landfill Directive”(廃棄物埋め立てに関する指令) “Packaging and Packaging Waste Directive”(包装廃棄物に関する指令)に言及するものである。目標の見直しに加えて、廃棄物法制は簡素化され、より良い政策実施に向けた欧州委員会と加盟国間の協力関係は強化されていくだろう。循環型経済に向かって進むことは、賢明で持続可能で包括的な成長を目指す”Europe2020戦略”のもとで設定された資源効率アジェンダの中心部分である。
<関連リンク>
欧州委員会「循環型経済」特設ページ
http://ec.europa.eu/environment/circular-economy/
Europe 2020
http://ec.europa.eu/europe2020/index_en.htm [DW編集局]