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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
- 元記事公開日:
- 2014/06/19
- 抄訳記事公開日:
- 2014/07/23
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欧州のグリーン・テクノロジー・バレー
- 本文:
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欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2014年6月19日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===世界のグリーン・テクノロジー市場は、今後10年間で2倍、すなわち4.4兆ユーロ規模まで拡大すると見込まれている。だが、伝統的な産業部門は、進境著しいこの新たな環境のどこに自らの居場所を求めればよいのだろうか。また、起業間もないグリーン企業は、どうしたら生き抜いていかれるだろうか。スティリア(ドイツ語ではシュタイアーマルク州)にあるGreen Tech Valleyは、幾分かの創意工夫と研究開発によって、重工業部門や熱意ある新興企業などが、このグリーン革命の中に自らのポジションを見出せることを示している。
世界随一の環境関連技術の研究開発拠点であるオーストリアのスティリアは、丁度20年前には存亡の危機に瀕していた鉄鋼産業の本拠地であった。1990年代に鉄鋼産業が危機を迎えると、この地域は研究開発に多額の投資を行い、大手製鉄会社が、自らが専門とする分野から転換を図り、グリーン・テクノロジーへ移行できるようにした。
スティリアでは今なお鋼鉄の生産が続けられているが、これらの鋼鉄はグリーン・テクノロジーのために使用されている。現在では、この地域は、車で1時間以内の範囲にある主要なグリーン・テクノロジー企業の数が世界のどこよりも多いことを誇りとしている。
Green Tech Valleyは先導的な存在だが、欧州にはこうした取り組みが他にもある。欧州委員会の欧州のイノベーション活動「INNOVA」の枠組みにおいては、ECO(Eco World Styria)がECOCLUP(Eco-innovative cluster partnership for growth and internationalisation:成長と国際化のための環境技術クラスター・パートナーシップ)に参加している。欧州の環境工学企業が地域の境界を超えて連携したこのネットワークには、欧州の10か国から13カ所の環境工学クラスターが参加している。パートナーシップを強化し、プロジェクトを開始する目的で、このネットワークには3,500社を超えるクラスター企業と430の研究機関が集結している。
スティリアにおけるエネルギーの最終消費量の25%は再生可能エネルギーであり、リサイクル率は75%である(原材料のリサイクル率としては欧州で最も高い) ― このように、スティリアは揺るぎない実績を上げている。さらに、企業各社は、6年間に7,500人のグリーン・テクノロジー関連の新たな雇用を創出しているほか、スティリアで生み出された製品は、5年間に世界中で4,000万トンのCO2を削減している。
[JSTパリ事務所]