[本文]
-
- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
- 元記事公開日:
- 2014/06/20
- 抄訳記事公開日:
- 2014/07/24
-
北極および南極の調査研究
- 本文:
-
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2014年6月20日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===NASAおよび米国ワシントン大学の研究者によれば、西南極氷床が崩壊し始めており、もはやこのプロセスを止めることはできない、という。つまり海面が実に4メートルも上昇する可能性があるということである。ただし、我々がこの海面上昇を目の当たりにすることはないだろう。これが起こるのは、およそ1,000年以上先のことだからである。
一方、北極の海氷面積は1970年代後半以降、10年に12%の割合で縮小している。米国立氷雪データ・センター(National Snow and Ice Data Center:NSIDC)によると、2014年5月は、これまでの同月の海氷面積としては史上3番目に小さい値を記録したという。専門家は、北極は今後30~40年以内に氷のない夏を迎えるようになるだろうと予測している。
北極の海氷の減少は、フィードバック・ループとしても知られる悪循環に陥っている。溶けて薄くなった氷は、厚い氷よりも光を反射しなくなる。このため海水がより多くの太陽光を吸収するようになり、氷がますます薄くなって海水温が上昇する、という状態である。
両極地は、地球上で最も気候変動の影響を受けやすい地域である。そして我々は、海氷の減少が地球温暖化を促し、気候のパターンを変化させる可能性があることを確認しつつある。EUが、過去10年間にわたって北極の調査研究に毎年2,000万ユーロを拠出し、ホライゾン2020でこうした調査研究が引き続き支援されているのは、このような理由による。
[JSTパリ事務所]