[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立保健医学研究所(INSERM)
元記事公開日:
2014/07/04
抄訳記事公開日:
2014/08/07

生命体の3Dレーザープリンティング

Impression 3D Laser du vivant : une approche innovante à Bordeauxhttp://presse-inserm.fr/bio-impression-laser-du-vivant-une-approche-innovante-a-bordeaux/13009/

本文:

国立保健医学研究所(INSERM)の2014年7月4日標記報道記事の概要は以下のとおり。

ここ数年医療の分野で3Dプリンティングが実に飛躍的に発展している。医療上の装置、つまり人工補綴の注文生産がこの新技術の第1の応用分野となっている。2011年には3Dプリンティングによるチタン製の顎が初めて移植された。それより2年後にはオランダの22歳の女性に人工の頭蓋骨が移植された。ではバイオ・プリンティング、つまり機能する生体組織を実現するという視点で、生きた細胞物質のプリンティングはどうであろうか。

非生命物質から作成される医療上の装置を超えて、研究者らは全く別の性格の課題に取り掛かっている。バイオ・プリンティングは生きた細胞物質のプリンティングである。従来の3Dプリンティングと異なり、バイオ・プリンティングは第4次元の考慮を前提とする。プリントされる細胞が機能する組織形成に向けて形態を整え移動する時間の次元である。

ボルドーの「バイオ組織工学」研究室(INSERM研究ユニット)では、試験管内および生体内で組織をプリントする目的の微細構造形成レーザー技術を開発している。INSERMとボルドー大学のこの共同研究室は、この製法を使用している世界でも数少ない研究室の1つである。INSERMの研究チームは2005年からレーザーを援用したバイオ・プリンティングの開発に取り組んでいる。チームの目標は細胞を3Dで位置決めすることだけでなく、プリントされる細胞の自動組織化の動きを明確にしてモデル化することにある。

研究室でのバイオ・プリンティングは、予めディジタル設計された構成法に従って、3Dプリンティングの原理を用いて生体組織の構成要素(細胞・細胞外基質等)を層ごとに組み立てる。

研究者らは現在再生医療、薬学、美容のニーズに応える目的で、角膜および皮膚の組織のプリンティングに関する研究を進めている。

[今後の展望]

バイオ・プリンティングの目標は機能する組織を創造目的で設計することである。

・健康な人または病気の人の組織を生理学的に再現する予測モデルは、近々にテストが可能である。
・3~5年以内には、個々の組織を患者の細胞から作製できる。
・7~10年以内には、再生医療目的で組織の移植が可能になる。

研究は進展しているものの、現在のところ機能する臓器のプリンティングが可能な状況ではない。

[DW編集局+JSTパリ事務所]