[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
エネルギー省(DOE)
元記事公開日:
2014/07/11
抄訳記事公開日:
2014/08/26

米国エネルギー省のプロジェクト31件が2014年の「R&D 100 賞」を獲得 

U.S. Department of Energy Projects Win 31 R&D 100 Awards for 2014

本文:

米国エネルギー省(DOE)の2014年7月11日の標記報道発表によると、DOEの研究者らは、商業的応用が見込める最も顕著な技術開発に贈られる「R&D 100 賞」(「R&D Magazine」誌が主催)を31件獲得した。「R&D 100 賞」は「イノベーションのオスカー賞」と呼ばれることもあり、毎年、前年中に開発されて市場に導入された優秀な製品や製法を認定して授与される。

賞獲得の資格として、対象となる技術や製法は稼動している必要があり、市場性があることが条件である。また2013年中に購入またはライセンス提供に初めて提供可能になっている必要がある。

この賞によるコンペティションが開始された1962年以降、DOE傘下の国立研究所は「R&D 100 賞」を800件以上受賞している。今回の受賞対象となった研究所とその技術の例を以下に数例抜粋する。

[アルゴンヌ国立研究所]
・逐次浸透合成(SIS)パターン転写は、マイクロエレクトロニクス製造業向けにナノスケールのパターンを作成する新しい方法で、コスト削減と製品性能の向上になる。
・適切な防護をしなければ、リチウムイオン電池のオーバーチャージはあらゆる種類の問題を引き起こす可能性がある。おそらくその中でも最も深刻なのは、突然の電圧上昇のリスクが「熱暴走」と呼ばれる現象で急激な温度上昇を招くことであり、それによって火災が起きる。
アルゴンヌの化学者はこの問題に対する化学的解決策を開発した。
・「NanoFab研究室」は靴箱サイズのミニ研究室でナノワイヤーの成長に必要な印刷機でもある。それらを製造する標準技術では、通常空気中に浮遊している何十万もの粒子を締め出す大規模なフィルターを備えた研究室である高価な「クリーンルーム」を必要とする。ナノワイヤーは比較的新しい技術であるが、科学者らはトランジスターの製造、センサー、太陽電池、電子部品としての応用が可能であると考えている。

[ブルックヘブン国立研究所]
・ブルックヘブン研究所のコンパクトな新型放射線検出器「GammaScout」は、試料やエリアのX線、ガンマ線放射の存在や分布に関する詳細なスペクトルおよび画像情報を提供する。

[アイダホ国立研究所]
・高度電解質モデル(AEM)はバッテリー・システム用に使用可能な電解質を分析・確認する強力なツールである。
・マルチフィジックス・オブジェクト指向シミュレーション環境(MOOSE)は、核燃料や原子炉の性能から地下水や化学的変動に至るまでの現象の科学者の予測を容易にする。

[国立再生可能エネルギー研究所](NREL)
・NRELは Crystal Solar 社と共同で厚さは80ミクロン未満の高効率薄層単結晶シリコンの太陽電池・モジュールの実現可能性を証明した。
・NRELがHPとの協力で開発した「HP Apollo 8000システム」は、スーパーコンピュータで発生する熱を消散させるのに部品レベルの温水クーリングを使用し、したがってデータセンターに高価で非効率な冷却装置は不要になる。

報道発表によると対象となった研究所は上記以外に次のものがある。

[ローレンス・バークレー国立研究所]
[ローレンス・リバモア国立研究所]
[ロス・アラモス国立研究所]
[オークリッジ国立研究所]
[パシフィック・ノースウエスト国立研究所]
[サンディア国立研究所]

これら研究所による開発技術は、多くは民間企業や大学等との協力により開発されたものであるとしている。

[DW編集局]