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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)
- 元記事公開日:
- 2014/07/30
- 抄訳記事公開日:
- 2014/09/08
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デジタル・ヘルス: 医療ケアの提供方法の変革
- 本文:
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ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)の2014年7月23日付標記記事は、ルーシー・ネビルロルフBIS政務次官/知的財産権担当大臣が「デジタル・ヘルス」の重要性・有益性に関する講演を行った旨伝えているところ、右講演の概要は以下のとおり。
「デジタル・ヘルス」は、遠隔医療、e-ヘルス(IT活用医療)、m-ヘルス(モバイル活用医療)の領域を網羅するが、進歩をもたらす一つの鍵は通信である。次のようなことが可能になる。
・身に着けたり自宅に設置したりすることで、病院外にいる患者の健康管理を継続して可能にする技術
・医療ケアの提供に必要な手段を臨床医、病院管理者、研究者に提供し、より効果的な治療法を開発する技術
・不可欠な情報の転送・解析をシームレスにすることで、より効率的な医療制度を構築する技術知的財産庁は「Fast Forward (先取り)コンペティション」を通じて多くの大学・病院共同プロジェクトに資金支援を行っているが、プロジェクトの多くが遠隔医療に焦点を置いたものである。また医療、臨床、臨床前研究に関しては、英国は世界の上位4大学の内3大学を擁している。
デジタル・ヘルスが医療ケアの提供方法改善の牽引役になり得るのは明らかである。そのポテンシャルを示すよい例が、最近の遠隔医療・遠隔介護の実態調査(Whole System Demonstrator: WSD)プログラムにより明らかになった重大な知見である。それによると、遠隔医療により、緊急入院が20%減り、死亡率が45%低下した。
他の調査でも電子処方箋が処方のエラー率を全体として60%減らすことが明らかにされた。デジタル・ヘルスにより医療ケアの提供方法の変革が期待される例は豊富にある。
政府は、医療スタッフがデータをより効果的に共有できるように、国民保健サービス(National Health Service: NHS)を2018年までにペーパーレス化するビジョンを打ち出した。2015年3月までに、患者は担当の一般開業医の記録にオンラインでアクセスして、診療の予約や薬の再処方の依頼が可能になる。
この(ビジョンの)強みは堅固なインフラに支えられている。「イングランド公衆衛生サービス(Public Health England)」や「国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence: NICE)」などの機関が、安全かつ持続可能な医療制度を構築する鍵となっている。結果的には、コモンウェルス基金の最近の報告(2014年6月)にあるとおり、ITの導入などの理由によって世界で最も効率的な医療ケアを行える医療サービスができあがる。
しかし諸外国の経験から学ぶべきものも多い(注: ここではブリティッシュ・コロンビア、オーストラリア、インドの事例が紹介されている)。国際協力により、優れたアイデアの迅速な普及や人類の福祉拡大が確かにもたらされる。
[DW編集局]