[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2014/09/08
抄訳記事公開日:
2014/09/25

デジタル時代の優れた労働

Gute Arbeit im digitalen Zeitalter

本文:

連邦教育研究省(BMBF)、ドイツ産業連盟(BDI)、フラウンホーファー応用研究促進協会(FhG)は共同で新プログラム「製造、サービス、労働のためのイノベーション(Innovationen für die Produktion, Dienstleistung und Arbeit von morgen)」を提出。これに関してBMBF省は概略以下のような報道発表を行った。

ドイツはグローバルに強い生産拠点であり続けることに成功していながら、GDPの70%をサービス業が占めるという工業国ではほとんど見られない状態にある。しかし、競争激化など、経済は大きな重要課題に直面しており、労働者一人ひとりにも影響してくるだろう。このような状況下で、どうしたら昼夜兼行で働きながら常に家庭に優しい労働時間を確保できるのか、働きながら、ステップアップのための良質な職業訓練を受けられるかが課題になってくる。

新研究プログラム「製造、サービス、労働のためのイノベーション」は、技術化、自動化、デジタル化と関連させつつ社会的な課題を解決する方法論の探求を、企業や研究機関に呼びかける。同プログラムは、経済拠点としてのドイツをグローバルな競争の中で持続的に強化して、同時に将来的、社会的に安定した雇用確保に大きな貢献をするものである。全体で三部門からなる同プログラムに関して、2020年まで合計約10億ユーロを投入する予定。

ヴァンカBMBF大臣は、「生産拠点であり続けるためにも、サービス業は産業分野と国境を越えて発展していかなければならない。そうして雇用を確保し、イノベーションが生まれる」と語り、「同時に、新たな働き方を模索し、個人が望む職業に就けるような、個別化した労働モデルを創り出せるような、新しい道を行かなければならない。そのため、労働の未来に関する研究を共同で発展させるために労使双方によびかけた」と続けた。

グリロBDI会長は、「デジタル化とIndustrie 4.0(連邦政府のアクションプランで製造業の高度化に関する一連のプログラム)は、生産、サービス、労働の基盤を変えるものである。そのため産官および市民社会は共にデジタル化に向けて態勢を整えなければならない。国際競争に勝つためには、競争相手よりもより革新的な環境を整備しなければならない。必要なのは、高速インターネットの普及、高度なデータセキュリティー、欧州デジタル域内市場の創設と、重要なプロジェクト助成の補完として税制面での研究助成措置の導入である」と語った。

FhG会長ノイゲバウアー教授は、「生産拠点確保のために、今後も生産性と柔軟性が重要である。研究と開発はイノベーションを加速させ、フラウンホーファー工作機械・変形技術研究所(IWU)のE3 Research Factory(資源効率化生産)では、資源とエネルギーの効率だけでなく、人間重視の研究も焦点となっている」と語り、「連邦政府のハイテク戦略と、今回スタートするプログラムは、知識を迅速に市場につなげるため、産学の密接な協力の中で進めるためのレールを敷くものである」と続けた。

Industrie 4.0(=第四次産業革命の意)の時代に、大量生産と同レベルのコストで個別化生産をいかにして可能にするかが生産領域における重要テーマである。そこではエネルギーの効率的利用が決定的な役割を果たす。サービス研究の一番の重点となるのは、電気自動車領域、健康ケアのための医学的、介護的、社会的な活動のネットワーク化である。未来の労働に関する研究は、モバイル機器が普及した現在、被用者に自己決定による労働の可能性を与え、常にモバイルでつながって、働かされる状態から保護することを目標とする。

研究プログラム製造、サービス、労働のためのイノベーション」は、「新ハイテク戦略」の重要な要素であり、新ハイテク戦略はイノベーションのために、産学と社会の間を結びつけ、明日の雇用と未来チャンスを創り出すものである。

[DW編集局]