[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会 システム・イノベーション研究所(ISI)
元記事公開日:
2014/09/15
抄訳記事公開日:
2014/10/10

調査報告:企業におけるオープン・イノベーション

Neue Studie zu „Open Innovation“ in Unternehmen: Die Balance aus internen und externen Innovationsimpulsen versspricht den größten Innovationerfolg

本文:

フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(FhG ISI)が実施した、「生産の近代化」調査から、外部からのイノベーション推進力としての「オープン・イノベーション」が企業のイノベーションを生み出す重要な条件であることが明らかとなり、ISIはこれに関して概略以下のような報道発表を行った。

閉鎖的なイノベーション・プロセスでは、企業が内部のアイデアや研究開発活動を新しい製品とプロセスの開発原動力としている。しかし、技術革新が速度を上げ、さまざまな要因が複雑に絡み合う時代においては、もはや成功を約束してくれるものではないだろう。その代わりに、外部のパートナー、専門家、顧客、ユーザー等、できる限り多くのイノベーション推進力、アイデア、ノウハウを開拓し、それによって市場性のあるイノベーションを実現するために、そのプロセスをオープンにしていかなければいけないのではないだろうか。 これがオープン・イノベーションのコンセプトの背景にある。

これまで、企業のイノベーション・プロセスの開放性の度合いと、達成されたイノベーション成果の間の関連性に具体的に取り組んだ経験的調査はあまりない。ISIの「生産の近代化」調査の新しい報告書No. 66は、この問題を正面から捉え、オープン・イノベーションを巡る論議に関して新しい結果を出すものである。ドイツの加工業1,600社の企業データに基づくこの調査の中心となる認識は、次のようにまとめることができる。オープン・イノベーションは企業にとって確実に報われるものである。しかし、「外部的なイノベーション推進力が多ければ多いほど、イノベーション成果も大きくなる」という安易な公式は当てはまらない。これに対し、成功する企業はそのサービス、生産、プロセスのイノベーションに重要な知識を、内外部からバランス良く取得している。製品や関連するサービスにおいては、主に消費者と内部の研究開発が改善への刺激を与える。技術的、組織的なプロセス・イノベーションにおいてはどちらかといえば、企業独自の生産現場、経営者、外部のサプライヤー、設備関係者、見本市から得られる情報となる。

この調査の共著者の一人、ゾム博士はこうコメントしている:
「オープン・イノベーションは、成功への近道を約束するものではない。外部のアイデアや刺激を有効に実施し、活用するためには機能的な、企業内部のイノベーション・マネジメント、社員研修体制、イノベーション文化、そして外部へのインターフェースと情報を消化するプロセスの有効な形成が重要である。この要素が存在する場合にのみ、オープン・イノベーションは成果につながる。外部の数少ないが、重要なソースを絞って焦点をあてることが賢い選択であるといえる。さもなければオープン・イノベーションは企業にとって、情報過剰となるだけである」。

[DW編集局]