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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国財務省
- 元記事公開日:
- 2014/09/10
- 抄訳記事公開日:
- 2014/11/11
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財務大臣が着手する北部の科学研究活性化計画
- 本文:
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英国財務省の2014年9月10日付標記報道発表の概要は以下のとおり。
[材料研究・イノベーション国立研究機関の創設構想]
ジョージ・オズボーン(George Osborne)財務大臣は、イングランド北部に材料研究・イノベーションの新規大型国立研究機関を建設する可能性について、その野心的計画を歓迎する旨表明した。
オズボーン財務大臣が6月に行った講演で北部地域の科学イノベーションの底力と地域復興の牽引力としてのその重要性を十分に活用する施策を求めたことに対し、マーク・ウォルポート(Sir Mark Walport)政府主席科学顧問は、この研究センターの選択肢について検討してきた。計画の骨子となるのは、この北部地域の材料科学の専門能力に依拠した有利な条件、すなわち、医療、エネルギー、輸送といった様々な産業領域で使用される超軽量、強靭かつ柔軟性のある材料の開発である。
最近のブレイクスルーには、福島のような原子力事故の防止に役立つ高温で操作可能なより安全な核燃料、到達するのが難しい石油・ガス資源へのアクセスを可能にする超高圧下で操作可能な超強度スチール代替材料、再建手術で使用する場合に体内で安全に溶解する生分解性インプラントなどがある。
ウォルポート政府主席科学顧問は研究機関や産業界と引き続き協議し、提案内容のさらなる充実を図る。この研究センター構想を進めるかどうかの最終判断は、秋の予算編成方針(12月3日)で発表される予定である。
[グラフェン・エンジニアリング・イノベーション・センター(Graphene Engineering Innovation Centre: GEIC)]
オズボーン財務大臣は同日、マンチェスター大学が6,000万ポンド規模のグラフェン・エンジニアリング・イノベーション・センター(GEIC)を設立する旨発表した。
グラフェンは北部で展開されている先端材料科学の一例である。1原子分の厚さの純粋カーボン材料で、食品包装から薬剤、曲げることのできる携帯電話に至るまで応用範囲が広い。
GEICは、グラフェンベースの製品が試作段階から市場に出るまで迅速に進むような施設を提供する。英国研究パートナーシップ投資基金(UK Research Partnership Investment Fund: UKPRIF)が1,500万ポンド、Innovate UK(技術戦略審議会)が500万ポンド、Master社(アブダビに本拠を置くクリーン・エネルギー、再生可能エネルギー企業)が3,000万ポンドを出資する。残りはマンチェスター大学が欧州地域開発基金(European Regional Development Fund: ERDF)など利用可能なファンディング制度を利用して調達する。
この新規研究センターは、同じくマンチェスター大学に設置される英国国立グラフェン研究所を補完し、またそれに立脚して構築される。当該研究所は、2012年度予算から約4,000万ポンドの出資によって現在完成間近である。両プロジェクトを合わせると、グラフェン技術に対する投資はかなりのものになる。
[DW編集局]