[本文]

国・地域名:
ロシア
元記事の言語:
英語
公開機関:
ロシア大統領府
元記事公開日:
2014/12/04
抄訳記事公開日:
2014/12/09

連邦議会に対する大統領年次教書演説

Presidential Address to the Federal Assembly

本文:

ロシア大統領府の2014年12月4日付標記発表では、連邦議会に対するプーチン大統領の年次教書演説の内容を伝えている。ロシアは経済戦略において海外投資の呼び込みや共同プロジェクトの実施等にはオープンな立場をとるが、その発展がとりわけ自国の努力に依存することを重視。そのために、国の産業や金融システムにより堅固な基盤を与え、時代の要請に応える人材を育成することで、新技術や競争力のある製品の開発を目指す。今後3~4年以内に世界平均を超える成長率の達成を目標とする。また今後10~15年間において、国家の安全及び高い生活水準を確保し、新技術部門を発展させるため、必要な技術ニーズの長期予測などの任務を負う「国家技術イニチアチブ」の設置を提案している。

以下は、大統領演説の中から科学技術、イノベーション、高等教育に関係する部分を抜粋して要約したものである。

[国家技術イニシアチブ]

ロシアは、自国の産業セクターの大規模な刷新を行う力があるのみならず、グローバルな技術的課題を製品やサービスとして具現化することを主導し、アイデアや技術の世界的サプライヤーになる力もあると確信している。かつて原子力や宇宙のプロジェクトがそうであったように、ロシア企業の業績が国家の繁栄や威信の象徴となる。

我々はすでに厳格な環境基準を導入するべく法改正を行った。その目的は、企業が利用可能な最高の技術(best available technology)を導入し、その基幹部門を常に最新の状態にできるよう後押しすることにある。

とはいえ、我々は将来的な課題にも十分な配慮をしなければならない。そこで「国家技術イニシアチブ」の設置を提案する。ロシアが今後10~15年の間に直面しうる課題は何なのか、また、国家の安全を確保し、生活の質の向上を図り、新たな技術環境で産業を振興するにはどのような進歩的な解決策が求められているのかということを、長期的な予測に基づいて理解する必要がある。

プロジェクトの推進者は、最先端の(技術)開発を導入する準備のできている活力ある企業と力を合わせる必要がある。主要な大学、研究センター、ロシア科学アカデミー、国内の大手業界団体も参加させなければならない。政府に対し、戦略イニシアチブ・エージェンシーとともに必要な整備を行うことを提案する。

[技術者養成]

残念ながら、ほとんどの技術者教育は今なお、実際の製造業拠点とは全く関係のない、最新の研究開発へのアクセスにも乏しい大学で行われている。数ではなく、人材育成の質に焦点を当てるのは今が潮時で、産業界と強いつながりのある大学で技術者の育成が行われるようにすべきである。

教育の質の向上を求めることは、労働力にも十分関係したことである。2020年までに少なくともロシアの職業訓練校の半数において、最も有望で需要のある50の職種での人材育成が、世界最高水準の最新技術を駆使して行われなければならない。

[高等教育在学生に対する大統領助成金]

高等教育機関に入学した優秀な学生に対し、年間5,000件の大統領助成金の設置を提案する。各助成金は月当たり2万ルーブル(約4万6,000円)になる。当然ながら、高等教育機関在学中に一定の条件が課される。第一に、特別訓練プログラムと同様、学生はロシア国内で一定期間仕事をする義務を負わなければならない。第二に、修学期間中は毎年、成績結果及び個人業績を示すことで、その受領資格を確認される。

[DW編集局]