[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国財務省
元記事公開日:
2014/12/08
抄訳記事公開日:
2015/01/29

オズボーン財務大臣、科学を「北部パワーハウス」の中核に位置づけ

Chancellor puts science at heart of Northern Powerhouse

本文:

英国財務省の2014年12月8日付標記記事は、ジョージ・オズボーン(George Osborne)財務大臣が12月3日に発表した2014年秋の予算編成方針(Autumn Statement)のうち、59億ポンドの科学への投資の主要な投資先について解説したものである。このほか、財務省の2014年12月12日付記事「英国の研究・イノベーションの強化」
(https://www.gov.uk/government/news/boost-for-uk-research-and-innovation)
では、企業の研究・イノベーションを支援する「研究開発費税額控除」について触れている。2つの記事の各々の概要を以下に記す。

[北部パワーハウス]

オズボーン財務大臣は2014年12月8日、マンチェスター市の科学産業博物館で講演し、2004年秋の予算編成方針で述べた「科学への投資」59億ポンドから「北部パワーハウス」に投入される具体的内容を以下のとおり明らかにした。

・マンチェスター大学のサー・ヘンリー・ロイス先進材料研究所に2億3,500万ポンドの投資。リーズ、リバプール、シェフィールドにあるサテライト・センターがこれを補完する。先進材料は超軽量で強力かつ柔軟性のある材料で、医療、エネルギー、輸送など様々な産業において利用されている。今後の科学イノベーションにとって極めて重要と期待される分野である。

・チェシャー州デアスベリーのハートリー・センターにおいて、IBM社との協力によるコグニティブ・コンピューティング(認知して考えるコンピューター)センターの設立に1億1,300万ポンドの政府ファンディング。コグニティブ・コンピューティング・システムは人の成長と同様の方法で「学習」する。その目標は、科学者のみならず医師、銀行家、小売業者等が、製品、製造プロセス及びサービスの改善に現在利用可能な莫大な量のデータの価値をフルに引き出せるようにすることにある。

・高齢化が抱える課題に対する技術開発のため、ニューカッスル大学の高齢化情報・イノベーション・センターに2,000万ポンドの投資。高齢者の生活の質の向上を図る一方で、医療サービスへの依存度を小さくする。

・国産エネルギー供給(システム)を開発するため、エネルギー安全保障・イノベーション観測システムに最大3,100万ポンドの投資。これには、シェールガスの抽出や地熱エネルギーなど地下エネルギー利用のフィージビリティテストをリアルタイムに実施する2か所の地下試験センターも含まれる。

・研究用の国立原子力利用者施設(NNUF)を原子力技術用にも拡張するため、6,000万ポンドの投資。NNUFは、大学や産業界に対し、大学の研究室で扱うことのできる水準よりも高い水準で、放射性物質に関する原子力研究で世界をリードする実験設備の利用を提供する。
[英国の研究・イノベーションの強化]

オズボーン財務大臣は2014年12月12日、バース(イングランド南西部の都市)に本拠を置くグローバルなエンジニアリング企業、Rotork社を訪問し、研究開発費税額控除が何10億ポンドものイノベーション投資にどのように役立っているのかを視察する。これは、2014年秋の予算編成方針の中で明らかにされた、研究開発費税額控除を企業の大小を問わずにより手厚く実施しようとする施策を受けてのことである。

2012-2013年の研究開発費税額控除により、1万5,120社が約14億ポンドの税軽減を受け、約132億ポンドの‌イノベーション投資がサポートされた。

財務大臣は2014年秋の予算編成方針において、2015年4月以降の研究開発費税額控除によって、大企業は最大29%、小企業は最大46%、研究開発費に係るコストを削減できることになると述べている。

[DW編集局]