[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
報道センター
元記事公開日:
2015/02/25
抄訳記事公開日:
2015/04/01

EUのエネルギーをクリーン化・効率化するEU助成の研究プロジェクト

EU-Funded Research contribution to the Energy Union

本文:

欧州委員会は、2015年2月26日に標題の記事を発表した。以下にその概要を紹介する。
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EUが、生活水準や利便性を維持するために消費するエネルギーを、より安全で競争力があり低価格な持続可能なものにしていくと同時に、低エネルギー経済を実現するためには、研究・イノベーションが不可欠である。EUの研究イノベーション枠組みプログラムHorizon 2020において、600億ユーロ近くの予算が、以下の様な取り組みに割り当てられている;
・ エネルギーの効率的な利用(2020年までに20%削減)
・ より統合され相互に連係しあった競争力のある市場を創り出すことによって実現するエネルギーの自由な移動
・ 幅広い選択肢と低価格を消費者に提供する国内市場を通じた市民とビジネスセクターに供給する安定・安全・低価格なエネルギー
・ 新しい高性能・低炭素技術を欧州市場に持ち込むことによる技術変化

Energy Union(クリーンかつ効率的なエネルギー利用を行うEUを表す概念)に貢献するEU助成のプロジェクトの概要は、以下の通りである。(注:※印以下は、①プロジェクトの期間/②EU助成額/③プロジェクト参加国/④Energy Unionの側面、を示している。)

<プロジェクトの概要一覧>
・ SOLAR-JET(太陽化学反応炉の実証試験と再生可能なジェット燃料の長期的な利用可能性):バイオ燃料・持続可能な燃料のための次世代型技術の開発としての水と二酸化炭素から製造する世界初のソーラージェット燃料の開発プロジェクト
※①2011-2015年/②220万ユーロ/③オランダ・ドイツ・スイス・フランス/④エネルギー安全保障・連帯と信頼・経済の脱炭素化・R&Iと競争力

・ CHIC(欧州都市におけるクリーンな水素):燃料電池を使った公共バスの開発と普及プロジェクト
※①2010-2016年/②2,590万ユーロ/③ドイツ・ベルギー・英国・カナダ・フランス・イタリア・ノルウェイ・スイス・オランダ/④エネルギー安全保障・連帯と信頼・需要の現代化に資するエネルギー効率化・経済の脱炭素化・R&Iと競争力

・ EuroBioRef(欧州の持続可能なバイオマス処理のための多層的に統合されたバイオリファイナリーのデザイン):バイオファイナリー(バイオマスの原料を処理して最終製品を製造するためのプラント)の設計と操業を改善するためのプロジェクト
※①2010-2014年/②2,300万ユーロ/③スウェーデン・デンマーク・ドイツ・英国・ポーランド・イタリア・ギリシャ・ノルウェイ・ポルトガル・ベルギー・マダガスカル/④エネルギー安全保障・連帯と信頼・需要の現代化に資するエネルギー効率化・経済の脱炭素化・R&Iと競争力

・ LABOHR(酸素回収と酸化還元(レドックス)プロセスを用いたリチウム空気電池):次世代の電気自動車用バッテリーの開発プロジェクト
※ ①2011-2014年/②290万ユーロ/③英国・イスラエル・イタリア・オーストリア・ドイツ・ウクライナ・スペイン/④経済の脱炭素化・国内エネルギー市場・R&Iと競争力

・ ADDRESS(需要と分散エネルギー源を調和させる能動的な供給ネットワーク):リアルタイムのエネルギー需要に沿って包括的な商業的・技術的枠組みを開発するプロジェクト(パイロット段階では、アグリゲータの信号を可視化できる装置を家庭に導入し、エネルギー管理ボックスがエネルギー需要を調整する仕組みを開発している)
※ ①2008-2013年/②900万ユーロ/③英国・ルーマニア・スペイン・フィンランド・イタリア・フランス・ベルギー・オランダ・スウェーデン・スイス/④需要の現代化に資するエネルギー効率化・国内エネルギー市場・R&Iと競争力

・ NACIR(太陽光発電装置の新しい利用法):新世代型の太陽光発電装置を使った水のくみ上げと灌漑に再生可能エネルギーを活用する実験を行うプロジェクト
※ ①2009-2012年/②440万ユーロ/③スペイン・ドイツ・エジプト・モロッコ/④エネルギー安全保障・連帯と信頼・経済の脱炭素化・R&Iと競争力

・ H2SusBuild(水素経済と再生可能エネルギー源を統合するクリーンなエネルギー自立型ビルの開発):ハイブリッド型エネルギーシステムを統合させたエネルギー自立型・二酸化炭素排出ゼロのビルを開発するプロジェクト(例えば、再生可能エネルギー源が不足したときに水素貯蔵タンクがエネルギー供給を行うようなシステム)
※ ①2008—2012年/②670万ユーロ/③スウェーデン・ギリシャ・英国・ドイツ・イタリア・ノルウェイ・ポーランド・スペイン・オランダ/④需要の現代化に資するエネルギー効率化・経済の脱炭素化・R&Iと競争力

・ UPWIND(風力発電の総合設計):欧州の洋上風力発電容量を拡大し、より安価な電力を供給するための経済合理的で実現可能な方法として、20MWの巨大な風力発電機の設計と提案を行うプロジェクト
※ ①2006—2011年/②1,450万ユーロ/③ドイツ・スペイン・デンマーク・インド・英国・チェコ共和国・フィンランド・中国・ウクライナ・ギリシャ・ベルギー・オランダ・スウェーデン・ポーランド/④エネルギー安全保障・連帯と信頼・・経済の脱炭素化・R&Iと競争力

なお、上記のプロジェクトの他にも、様々なイニシアティブが”Energy Union”のビジョンの実現に向けて実施されている。

[DW編集局]