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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2015/03/20
- 抄訳記事公開日:
- 2015/04/10
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針不要の予防接種
- 本文:
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新しい研究プログラム「材料からイノベーションへ」に関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。
新しい材料は物質とエネルギーの効率を上昇させ、生活の質を改善し、産業の競争力を向上させる。新しい材料によるイノベーションは、軽量かつ堅牢性の高い自動車による燃費の改善、保護・機能衣による労働災害の減少、携帯電話端末向け耐衝撃性プラスティックや傷のつきにくい画面などがある。BMBFが進めるプロジェクト「バイオインジェクト(BioInjekt)」において注射針の予防接種システムが開発されている。
ヴァンカBMBF大臣は同システムのプロトタイプ発表において「材料研究によって予防接種の負担が将来大幅に減るだろう。針の無い注射は注射嫌いを減らし、病院側の業務も簡略化され、病への戦いを助けてくれる」と語った。開発されたのは二つのシステムで、針を使わず液体及び固体のワクチンを皮下へ届くようにするもの。取扱いが楽なことと並び、定コスト生産による使い捨てが可能で、さらには既に内容物が詰められていることから、アンプルから注射器に液体を移すことなく直ちに利用できるという利点を有している。
同時に新しい研究プログラム「材料からイノベーションへ」も発表された。これは生産研究に新しいインパクトを与えるべきものである。技術革新とデジタル化の進展はより短いイノベーション・サイクルへと繋がる。3Dプリンターが製造業のパラダイムシフトを変えられるとすれば、新しい材料が開発されることが必須である。ヴァンカ大臣は「材料研究が多くの領域の基盤になることを強く意識しなければならない。」と語った。
製造業における効率的な材料の利用に関する研究は、資源に恵まれない国であるドイツにとって特に国民経済的な意味をもっている。2010年の原材料コストは約1,380億ユーロであり、その内1,100億ユーロは輸入となっている。同大臣は、「ドイツは依然として原料輸入に依存している。こうしたリスクを研究によって軽減していく所存である」と語った。
新しいマテリアルの最初の発見から技術的イノベーションまでの道程は長い。平均すると、一つの発明が製品になるまで約10年かかる。このため助成プログラム「材料からイノベーションへ」は2024年まで継続とし、合計で約10億ユーロを用意している。
[DW編集局]