[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
研究・イノベーション総局
元記事公開日:
2015/04/21
抄訳記事公開日:
2015/05/25

第2世代のゲノム解析技術、より効果的な治療を可能にする

Unlocking genetic secrets for more effective medical treatments

本文:

欧州委員会研究・イノベーション総局は、2014年4月21日に標題のプロジェクト紹介記事を発表した。以下にその概要を紹介する。
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我々の遺伝物質の解析は、臨床医療における新しいフロンティアを切り拓いた。EU助成の画期的なプロジェクト”READNA”は、最先端のDNA塩基配列決定の技術を開発した。それは、診療所や病院に持ち込んで利用することができる費用対効果の高いもので、それにより癌の診断や診療が格段に効果的かつ手頃な価格になり、多くの命を救うことに繋がるだろう。

以下、本プロジェクト・コーディネーターのスペイン国立ゲノム解析センター所長のGut氏のコメントである(それ以後のコメントも同様):
「我々が開発した第2世代の遺伝子塩基配列決定技術は、大変革をもたらすことになるに違いありません。なぜなら、それらはより正確でずっと費用効果が高いからです。また、本技術の採用により、患者の置かれる状況が大きく改善されるはずです。というのも、第一世代の分析技術では分析できるゲノムが5-6であったことに対して、本技術では数千のゲノムを対象とすることができるためです。」

これらの塩基配列決定装置は、現在臨床用に採用されており、病原菌の特定や希な遺伝性障害の診断を迅速に実施するためにも使われている。

「我々は、ある技法の標準化に成功し、正常な塩基配列決定がまさにどのようであるかを定義することができました。」

本プロジェクトの研究者達は、第3・第4世代の塩基配列決定技術にも取り組み、可能な限りの新領域を切り開いた。その最も胸躍るような例は、ノートパソコンに直接接続できる小型の遺伝子塩基配列決定装置(”Oxford Nanopore Technologies’ MinIon”)である。

「本技術の未来は、非常にワクワクするようなものです。例えば、あなたがDNAを採取して、たばこのケースよりも小さな装置に入れると、リアルタイムでそのDNAの配列決定結果が出てくるようになる。この装置をあなたのノートパソコンに接続すれば、あなたは塩基配列の決定過程を見ることもできるのです。
最終的な目標は、1日以内に1,000ユーロで全てのヒトゲノムの塩基配列を決定できる技術を開発することです。」

READNAプロジェクトは2012年に完了し、12の大学と6つの企業から来た卓越した専門家たちからなる学際的なコンソーシアムが関わった。本プロジェクトから、20件近くの特許出願が実施され、100件以上の論文が出版された。スピンオフ企業も設立され、いくつかの研究開発成果はすでに商品化されており、まもなくされるものもある。

<プロジェクト詳細>
・ プロジェクト名:READNA
・ 参加国:フランス(コーディネーター)、スウェーデン、ドイツ、英国、オランダ、デンマーク、スペイン
・ プロジェクト費用:1,575万3,593ユーロ
・ うち、EU助成額:1,199万2,319ユーロ
・ 実施期間:2008年6月〜2012年11月

[DW編集局]