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- 国・地域名:
- スイス
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- スイス国立科学財団(SNSF)
- 元記事公開日:
- 2015/05/07
- 抄訳記事公開日:
- 2015/06/01
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カーボン・ナノチューブに代わる綿繊維
- 本文:
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スイス国立科学財団(SNSF)の2015年5月7日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===スイス国立科学財団(SNSF)の国家研究プログラム「ナノ物質の機会とリスク」(NRP 64)、の一環として行われた、植物原料によるナノファイバーの吸入による肺への影響に関する分析研究により、こうしたセルロースナノファイバーは有害ではないことを明らかにした。
NRP64では、植物ベースのセルロースナノファイバーでも、特に短繊維のセルロースナノファイバーについて、短期的には健康へのリスクを及ぼさないことが調査で明らかにされていた。しかし長繊維に関しては、肺細胞による排除効率は低かった。今回の結果では、肺細胞の分析により、急性ストレスや炎症の兆候は見られなかったことが示された。ただし、肺細胞の排除システムに関して、短繊維と長繊維の間で異なることは明確である。
カーボン・ナノチューブはサイクリング用ヘルメットやテニス・ラケットに使用されているが、セルロースナノファイバーもごく軽量でありながら、高い引裂き抵抗(tear resistant)を持つという特性を有する。一方で、綿やバナナといった植物性廃棄物から製造が可能であるためその生産コストはカーボン・ナノチューブよりもかなり安価である。
NRP64は、ナノ材料に関する既存知識のギャップを埋めることを期待し2010年12月から5年間の予定で実施されている。
[JSTパリ事務所]