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国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立衛生研究所(NIH)
元記事公開日:
2015/05/01
抄訳記事公開日:
2015/06/18

国立衛生研究所(NIH)サミットでアルツハイマー病研究の変革を提言

NIH summit delivers recommendations to transform Alzheimer’s disease research

本文:

2015年5月1日付の国立衛生研究所(NIH)による発表記事の概要は以下のとおりである。

主要な専門家や提唱者は新発見を加速するための共同研究や斬新なアプローチを呼びかける。

NIHはアルツハイマー病に対してより大胆研究課題の枠組みに関する提言を発表した。最近開催された、「治療と予防への道筋(Path to Treatment and Prevention)」と冠した2015年アルツハイマー病研究サミット(Alzheimer’s Disease Research Summit 2015)で展開されたもので、この大いに期待された勧告においては幅広いアルツハイマー病研究コミュニティーにアルツハイマー病及び関連の認知症に有効な治療の開発を加速する戦略を提供する。これらの提言は、アルツハイマー病研究並びに治療に参画している学会、バイオ医薬品業界、政府の各界が非常に必要とされている治療法の開発を推進するための知識の生成・共有・使用の仕方に変化を求めている。

NIH長官フランシス・コリンズ博士(Francis. S. Collins)は「アルツハイマー病研究は、幅広い生物医学データセットを検出・測定・分析する独創的なアプローチがこの病気の原因究明と経過に関する新しい知識を切り開く新時代に突入している。著しい財政的制約のある現代では我々は、より賢く、迅速に、そして協調して取り組む必要がある。これらの提言は、今後の研究のありかたに関する指針をもとめている研究コミュニティーに対して、データ共有と学際的なパートナーシップの重要性を強調するものである」と述べている。

これらの提言は5月12日と13日に開催される老化に関する国家諮問会議(National Advisory Council on Aging)で取り上げられる予定であるが、危機的な知識ギャップとの取り組みにおける新しい科学的アプローチの輪郭を描き、全ての病期の人々に対する治療を加速するための革新的技術の活用を提案する。また更に、新研究課題の実行を成功させるために必要なインフラとパートナーシップと、患者を力付け一般市民の参画を促す戦略を特定する。

アルツハイマー病の主要な研究テーマは以下を含む
・アルツハイマー病予防の戦略を周知・伝達するため、健康な脳の老化と認知機能回復力(cognitive resilience)の全ての側面の理解
・システム生物学(systems biology)、システム薬理学(systems pharmacology)といった統合的でデータ駆動型の研究法の拡大
・大規模な生物学的、および患者に関連した(patient-relevant)その他のデータの貯蔵、統合ならびに分析を可能にするためのコンピュータツールとインフラの開発
・アルツハイマー病の介護のための発見の科学(discovery science)および研究情報を周知・伝達するためのウエラブルセンサー、ならびにその他のモバイルヘルス技術の使用の活用
・基礎、トランスレーショナル・リサーチおよび臨床研究の領域における開かれた科学(Open Science)の支援・実現
・共同・協調で、透明性・再現性の高い研究を促進するための学会、出版及び資金提供のインセンティブの変更
・新しいトランスレーショナル・リサーチとデータサイエンスに携わる労働人口の開発への投資
・アルツハイマー病研究において、一般市民、医療介護・ケア提供者(caregivers)と患者の対等のパートナーとしての取り込み

これらの提言は、アルツハイマー病と取り組む国家計画(National Plan to Address Alzheimer’s Disease)の主要研究目標である、2025年までにアルツハイマー病及び関連認知症の有効な治療法または予防法を見つける事を達成するための特定マイルストーンを更新並びに拡大する為に活用される。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]