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- 国・地域名:
- ロシア
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ロシア連邦政府
- 元記事公開日:
- 2015/03/18
- 抄訳記事公開日:
- 2015/06/22
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2035年までのロシアのエネルギー戦略草案
Meeting to discuss draft Russia’s Energy Strategy until 2035
- 本文:
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ロシア連邦政府の2015年3月18日付標記記事は、2035年までのロシアのエネルギー戦略草案を審議する会合におけるメドヴェージェフ(Dmitry Medvedev)首相の冒頭演説の内容を伝えている。概要は以下のとおり。
2035年までのロシアのエネルギー戦略草案は、今後20年間の燃料エネルギー・セクターの開発計画について概説し、エネルギー・セクターを近代的、効率的かつ安全な産業にするための方策、及び料金、課税、投資の領域でなすべき決断に言及している。本日の会合では、燃料エネルギー・セクターに関する2つの開発シナリオ(保守的シナリオ及び目標指向型シナリオ)が検討される。本戦略草案は専門家による審査を踏まえた後、2015年秋以降の政府会合においてその最終案が審議されることになる。
燃料エネルギー・コンプレックスは国内総生産(GDP)の4分の1強、国家予算の約30%、輸出による収入の3分の2強、投資総額の4分の1を占めている。よって、エネルギー・セクターの動向に他の部門の状況も大きく左右されることになる。
燃料エネルギー・コンプレックス及び経済全体が、開発された鉱床における採掘量及びエネルギー輸出の右肩上がりの伸びによってのみ成長するというモデルは、もはや完全に機能していない。2035年目標戦略では、エネルギー生産高と消費量の見通し及び燃料エネルギー・セクターの様々な問題に対する具体的な解決策が提案されなければならない。世界のエネルギー・セクターで起こっている変化も的確に評価することが重要である。というのも、世界のエネルギー革命は50年~60年の間隔で起こっており、市場の状況を最終的に変えてしまうような新しいタイプの燃料が登場しているからである。また、新たなメーカーの登場や新しい採掘・加工技術の開発も意識する必要がある。昨今、エネルギーの国際価格は急激に下がり、発展途上国におけるエネルギー需要が増加しつつある。そうした状況下ではエネルギー市場における競争が一層過酷なものとなっていることを考慮しなくてはならない。
戦略草案策定に向けて注意すべき点として、第一に、ロシアの燃料エネルギー・コンプレックスは国家安全保障を完璧に確保するものでなければならない。工業・農業系の企業や住宅公共事業から一般家庭の居住者に至るまで、必要なエネルギー全てを良質かつ手頃な価格で入手できなければならない。ロシア北東地域におけるエネルギー生産を増やすための特別な措置を検討し、通常の勤務条件や生活水準を確保するべくカリニングラード州やクリミア連邦管区などの特定地域においてエネルギー産業を発展させる必要がある。
第二に、エネルギー利用は質的に異なる(次の)段階に進まなければならない。それは、石油、ガス、石炭のより「深い」加工、原子力エネルギー部門における閉鎖系核燃料サイクルの開発、最新の生産・輸送技術の導入、経済全般におけるエネルギー効率の向上などである。
第三に、エネルギー・セクターは近代的な機材、新しい技術や材料に対する堅実かつ効果的な需要を生み出している。これらエネルギー資源は国内産業ならびにイノベーション環境の発展にまず優先的に活用されるべきである。輸入代替や現地生産等を促進することで、燃料エネルギー・コンプレックスにおける機材や材料の輸入割合は格段に下がる。戦略草案では、2035年までにこの割合を10%未満にする旨言及している。
第四に、エネルギーの国外需要の量や場所が変化しつつあるなか、ロシアは世界のエネルギー生産における主導的な地位を保持しなくてはならない。柔軟な輸出政策を行い、エネルギーの輸出品目を拡大し、出費を最大限減らし、新たな鉱床開発及び輸出供給のための輸送インフラを発展させる必要がある。
最後に、エネルギー戦略には、エネルギー・セクターにおける投資環境の改善に向けた政府の取組との連続性が一貫してなくてはならない。ロシアの企業、海外投資家、及び諸外国の消費者に対し、課税、税関、価格などの明確な指標を示す必要がある。
[DW編集局]