[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
報道センター
元記事公開日:
2015/06/22
抄訳記事公開日:
2015/07/14

欧州の優先事項:オープンイノベーション、オープンサイエンス、世界に開かれた欧州

Open Innovation, Open Science, Open to the World

本文:

欧州委員会は、2015年6月22日に標題のとおり、”A new start for Europe: Opening up to an ERA of Innovation”と題した会議における欧州委員Carlos Moedas氏のスピーチを紹介した。以下にその概要をまとめる。
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15年前に欧州研究圏(ERA)が提唱されたとき、それは物理的な空間を意図したものだった。つまり、欧州は物理的な連携・研究者の流動性・情報の流動性を重視してきた。その結果、国境を越えた研究連携、国境をまたいだ研究者のキャリアは当たり前のことになり、研究・イノベーションに関する欧州全体を統合したプログラムを運用している。そして現在は、ERAとイノベーションユニオンの第一章を終えようとしている段階にある。

第一章は、物理的なERA、および研究とイノベーションとを融合させることについてのものであった。第二章は、欧州の研究・イノベーションをオープンなものにし、かつ物理的なものとデジタルとを融合させることに焦点を当てたものでなくてはならない。

その際の主要な課題は三つある。
(1) 欧州は研究の成果を市場化することが得意ではないこと
(2) 科学的な取り組みの全ての側面が、よりオープンで、連携に基づき、かつ多くの人が参加するプロセスに変化しつつあること
(3) 欧州は、国際的な科学・科学外交における活動が相対的に低調であること
である。

したがって、以下の3つを戦略的な優先事項とすべきである。オープンイノベーション、オープンサイエンス、世界に開かれた欧州(Openness to the World)、である。

オープンイノベーションに関しては、イノベーションに適した規制環境、ベンチャーキャピタル、Horizon 2020によるイノベーションインパクトを増すこと、科学の分野における欧州研究会議のようにイノベーションをサポートする仕組みを作ること、が重要である。

Horizon 2020によるインパクトを増す方法としては、「エクセレンスのシール(Seal of Excellence)」がある。これは、Horizon 2020に応募したものの採択に至らなかった優れたプロジェクトに対し、構造基金(Structural Funds)からの支援を行うというものである。中小企業を対象とした支援として開始される予定である。

イノベーションをサポートする仕組みとしては、欧州イノベーション会議(European Innovation Council)について提案する。これはすぐに実現できるものではないが、Horizon 2020における中期的な議論の対象となる。

オープンサイエンスに関しては、欧州の科学者のための欧州科学クラウドプロジェクトの準備をしている。それは、研究成果やデータへのアクセスをより高めるためのものである。また、研究のインテグリティに関する欧州レベルでの取り組みが必要であると考える。今年の終わりまでに、「欧州研究インテグリティ・イニシアチブ」を立ち上げ、明確な基準と仕組みのもと研究不正に対峙する。

世界に開かれた欧州に関しては、私の任期中に一連の国際的なイニシアチブを立ち上げる。たとえば、ラテンアメリカとアフリカと連携しつつ、南大西洋のための共通の研究戦略を打ち立てる。

[DW編集局]