[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立研究機構(ANR)
元記事公開日:
2015/06/08
抄訳記事公開日:
2015/07/16

数分で自己の損傷に適応可能なロボット

Des robots capables de s’adapter aux dommages en quelques minutes

本文:

国立研究機構(ANR)の2015年6月8日付け標記報道発表の概要は以下のとおり。

ここ数年来、一部の国では緊急事態において救急部隊を援助する目的でロボットが使用されている。たとえば大災害後の生存者の捜索、森林火災を発見して消防に告知するなどに役立てている。そのような作業実行中にロボットが破損しても無事に任務を遂行できるためには、被った被害にロボットが対処できることが必要である。これが「若手研究者」(JCJC)プログラムの一環でANRが2012年からファンディングしている””CreAdapt””プロジェクトの目標である。

・生物にヒントを得た技術
破損したロボットの任務継続を可能にする新たな方式について、最適化・イノベーション・プロセスとして自然進化を参考にした。動物は傷を負った場合に、その障害を補う方法を即時に見出す能力を持っている。たとえばくるぶしを捻挫した動物は僅か数回試行するだけで、びっこを引くという方法を見つける。同様の方法で自律ロボットは、機械的な損傷などの製作者が予想しなかった事態に対応出来る必要がある。本プロジェクトは、ロボットがこのような事態に遭遇したときに、ロボットに「創造力」を与える人工進化アルゴリズムに基盤を置く、という特徴を有する。主要な課題は、適応に数分しか要しないようにすることである。

・「適応能力」の向上を図るアルゴリズム
本プロジェクトでは、「試行錯誤」システムによる学習を通してロボットに直観力を与える目的で、人工的進化を利用する。そのため、ミッション投入前にロボットはそのボディのシミュレーションを用いて、数千種の目標実現手段の詳細マップを作成する。

このマップが、展開すべき動きやその潜在能力に関するロボットの「直観力」を具体化する。マップは”MAP-Elites”と称する新しいタイプの進化アルゴリズムを通じて作成されるが、これは有効な解決策の模索に「適者生存」というダーウィン進化論を参考にしている。ロボットが損傷を受けた場合、この直観力を用いて「適応」と呼ぶ第2のアルゴリズムに進む。このアルゴリズムは補償行動を即座に見つけるための試行を実施する。この新たなアルゴリズムは「ベイズ的」最適化アルゴリズムで、「マップ」から供給される情報を活用する。試行のどれかが機能しない場合、アルゴリズムはインテリジェントな方法で該当する行動カテゴリー全体を削除し、別の有望な解決策を試行する。研究者はこの方法を6脚の歩行ロボットで試験したが、5回の故障試験(短い脚、脚を失った場合、等)ではこの適応過程全体が2分以内に実行された。

[DW編集局+JSTパリ事務所]