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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学アカデミー(NAS)
- 元記事公開日:
- 2015/05/18
- 抄訳記事公開日:
- 2015/07/16
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ヒト遺伝子編集イニシアチブ発表
- 本文:
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2015年5月18日付の全米科学アカデミー(NAS)と全米医学アカデミー(旧医学研究所(IOM)、以下NAMと表記)によるヒト遺伝子編集に関する発表記事の概要は以下のとおりである。
NASとNAMは、論争の的となっているヒト遺伝子編集を対象とした新規研究に関する意思決定に助言を与えるために大規模なイニシアチブを展開している。例えば、CRISPR-Cas 9の様なヒト遺伝子編集技術は疾病に対する期待に満ちた新しい治療法を生み出す可能性がある一方で、ヒト遺伝子を編集しようと試みた最近の実験は、同時にヒト生殖細胞系列を改変する事に関しての潜在的リスクと倫理的な懸念ついて重要な疑問を投げかけた。
NAS/NAMのイニシアチブには研究者とその他の専門家が召集されてヒト遺伝子編集研究に関連した科学的、倫理的そして政策的な諸問題を調査する今秋開催予定の国際サミットを含む。更にNAS/NAMは学際的な国際委員会を設置してヒト遺伝子編集の科学的基盤及び臨床的、倫理的、法的そして社会的な影響に関して包括的な研究に着手する。委員会は生物医学研究及び医療において遺伝子編集技術を使用する際に適用される基準、ガイドライン、及びプラクティスについて検討を重ねて勧告する。イニシアチブ全体の舵取りは近々発表される予定の諮問グループが行う。
NAS/NAMは過去にも新興の論争の的となっていた遺伝子研究の新領域、例えばヒト胚性幹細胞(ES細胞)の研究、ヒトクローンの作製、そして「機能獲得」研究などについてリーダーシップを発揮してきた。1975年にはNASが開催した”Asilomar”会議が組み換えDNA研究のガイドライン作成に至った経緯がある。これらの過去の取り組みを踏まえてNAS/NAMはヒト遺伝子編集とその影響についての包括的な理解を深めて国内のみならず世界全体の研究者、臨床医、政策立案者並びに一般市民を導く一助となるために科学界や医学界と一緒に作業に取り組む用意がある
医学研究所(Institute of Medicine, IOM)は1970年にNAS傘下の健康担当組織として設立されたが、2015年7月1日付でIOMは全米医学アカデミー(National Academy of Medicine, NAM)となり、現在IOMの所長を務めるVictor J. Dizau氏がNAMの初代理事長に就任する。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]