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- 国・地域名:
- ロシア
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ロシア連邦政府
- 元記事公開日:
- 2015/06/03
- 抄訳記事公開日:
- 2015/08/03
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スコルコボの現状とそのプロジェクト展開
- 本文:
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ロシア連邦政府の2015年6月3日付標記発表記事によると、メドヴェージェフ首相はスコルコボ財団が主催する”Startup Village”国際会議に出席した後、スコルコボ財団評議員会会合を主催した。
“Startup Village”国際会議の主たる目的は、若手企業家にロシア内外の専門家、企業家、科学者との協力の機会を提供することである。会議の参加者は、ロシア、カザフスタン、べラルーシからのスタートアップ企業やチーム、投資家、開発機関の代表、大手技術企業、実業界、メディア、学生などである。”Startup Village”のプログラムには、その成長レベルは様々であるが4つのカテゴリー(IT、純粋技術、生物医学技術、産業技術)から選ばれた200社以上のスタートアップ企業によるプレゼンテーションのほか、若手企業家向けのワークショップやセミナーなどがある。
今年(2015年)の”Startup Village”会議では、2月3日から4月30日の期間にロシア、カザフスタン、ベラルーシで実施されたイノベーション技術巡回展示会”Russian Startup Tour 2015″の成果レビューが行われる。この巡回展示の重点領域は、IT、宇宙技術、エネルギー効率、新素材、原子力技術、薬品、生物医学などであった。スコルコボ財団が主催するこの全国ツアーでは、2013~2014年のイベント来訪者が1万6,000人にのぼり、1,300社以上の技術系スタートアップ企業が予備審査を通過して各々の発表を行っている。
【スコルコボ財団評議員会会合におけるメドヴェージェフ首相冒頭演説の概要】
現在ロシアの50地域から1,100社のハイテク企業がスコルコボに拠点を構えており、約1万3,500件の雇用が創出されている。スコルコボ財団はプロジェクトの産業パートナーの参加枠を拡大し、現在はIBM社、インテル社、シスコ社、SAP社、シーメンス社、サムスン社など著名なグローバル・ハイテク主要企業を含む60社のパートナー企業を擁する。KamAZ、Tatneft、Transmashholding、Pipe Metallurgical Companyなど多数のロシア大手製造企業も拠点を置いている。研究センター設立に関する50件の協定が締結され、財団の常駐企業プログラムを推進する認定投資家や取引の数も増えている。
プロジェクトは約5年の間に発展してきた。政府はこれに大きな支援をしてきたが、この支援のおかげでプロジェクトは軌道に乗ることができた。昨年は連邦予算から250億ルーブル強を割り当てた。今年もかなりの資金が割り当てられている。同時に、スコルコボの研究センターでは予算外の収入源も積極的に確保しており、財政面も含めてプロジェクトの成果がすでに見え始めている。
ここスコルコボで展開されている5つのクラスター(宇宙技術、原子力技術、エネルギー効率、IT、生物医学)のうち、生物医学クラスターには特に注目したい。その影響力は今や農業や工業バイオテクノロジーにまで及び、スコルコボのポテンシャルを活用することで現代の特に有望な農業技術の開発及び推進や産業上の安全性の問題に対する取り組みを可能にする重要な領域である。
地方との関係を深めることも重要で、昨年はロシア極東におけるプロジェクトを代表する極東部門が開設された。極東は戦略的に重要な地域で、東南アジア諸国との協力はうまく推進されていくと確信している。
知的財産権センターは非常に有効に機能している。特許協力条約(PCT)に基づくロシアの国際出願全体の約5%がこのセンターを経由している。
大型プロジェクトの実施に伴う難しさもある。インフラ構築の問題がその一例である。今年計画した建設プロジェクトがすべて年内に完了するように、さらに徹底した管理が必要である。イノベーション・センターの主要施設の建設は完了しているので、輸送アクセスの確保が重要である。
技術開発目標の達成及び近代的な生産施設の創設にさらに重要な役割を果たすべく、可能な限り最大限の資源を集中投入する必要がある。
[DW編集局]