[本文]
-
- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)
- 元記事公開日:
- 2015/07/02
- 抄訳記事公開日:
- 2015/08/13
-
研究、イノベーション、成長:長期経済計画における科学の役割
Research, innovate, grow: the role of science in our long-term economic plan
- 本文:
-
ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)の2015年7月2日付標記記事では、ジョー・ジョンソンBIS/大学・科学担当大臣がロンドンで行った講演内容を報じている。成長を牽引し来るべき次世代のより良い生活水準を確保するための英国の研究・イノベーションについて概観したものである。講演概要は以下のとおり。
英国の納税者は年間100億ポンドを研究・イノベーションに投資している。政府は(予算)削減という難しい決断をしたにもかかわらず、研究ファンディングについては、これを優先しリング・フェンス(「特別扱い」≒「聖域」)として今年度も確保した。しかも、2021年までに英国の研究インフラに69億ポンドという記録的な規模の新規資金を投入する。この長期的取り組みには”Grand Challenges Fund”向けの29億ポンドが含まれ、新設のチューリング研究所、新規最新鋭の極地調査船、集光面積1平方キロメートルという最大級の電波望遠鏡 “Square Kilometre Array” などの国家的に重要な主要研究施設への投資が可能になる。
・英国の地方巡回視察から
役目柄、英国全土を縦横に旅して上記の記録的投資が英国全土でどのように有効活用されているかを直接視察する機会がある。
10日前には気象庁(Met Office)を訪れたが、ここでは現行システムの13倍以上の性能を有する新規スーパーコンピュータに9,700万ポンドを投資している。この投資により、天候・気候の予測において世界の先端を行く英国の地位は強化されることになろう。
リーズ大学にある医学・生物工学研究所(Institute for Medical and Biological Engineering)の訪問では、医療技術で英国の先端を行くスピンアウト企業「Tissue Regenix社」の発展を支えてきたバイオロジカルスキャホールドに関する先駆的研究(を行う施設)を視察した。
最近ではデアズべリーのハートリー・センターにおいてIBM社と1億1,300万ポンドの投資協力を立ち上げる機会に恵まれた。この投資は高性能コンピューティングやビッグデータの解析・活用能力の飛躍的前進を意味するものである。IBM社は最高2億ポンド相当のパッケージで本プロジェクトのさらなる支援をする。これは、公的セクターによるファンディングがどのように民間セクターからの支援を活用するかに関する1つの好例である。デアズべリーとハーウェルにおいてハートリー・センターを大幅に拡張して、データ処理を中心とする研究に携わるグローバル企業及び英国企業の活性化を促し、研究プログラムへの共同参画や施設の共同設置を実現することで、さらなる国内投資の呼び込みを狙う。
この1年で、研究開発に関わる国内投資プロジェクトは11%の増加が見られた。そのような協力が往々にして大規模な外国直接投資の先駆けとなり、長期的関係を築くための地ならしになる。
・イノベーションへの取り組み
政府は、イノベーション振興、新たなアイデアの特許化、起業及びその発展において英国が欧州で最も適した場所になるべく取り組んでいる。大学と企業がより密接に仕事できるようにさらなる努力をする必要がある。過去の研究の実用化に留まらず、競争の激しいグローバル市場への挑戦課題に対応すべく現在及び未来の研究を刺激する必要がある。
政府はすでに、企業による新たな研究開発への投資・実行の促進を目的とした一定範囲の施策に取り組んでいる。その例として、ブリストル、ブラッドフォード、リバプール、及びノッティンガムの各地域に広がる4つの大学・企業ゾーンにおいて、2020年までにハイテク中小企業の雇用を1,000人以上創出する計画がある。
政府はまた、さらなる新興技術、すなわち英国が世界をリードする可能性を有する技術を、英国の研究者やイノベータが実用化できるように、カタパルト(未来の技術に関する研究開発拠点)の創設に取り組んでいる。
・結論
現財務大臣ほど研究への取り組みに熱心な財務大臣はいなかった。同大臣によれば、科学とは個人的な情熱である。大臣は先月(2015年6月)の英国産業連盟(CBI)での講演において、「科学・イノベーションは、英国の生産性向上計画に不可欠な要素である」旨指摘している。
[DW編集局]