[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立宇宙研究センター(CNES)
元記事公開日:
2015/07/01
抄訳記事公開日:
2015/08/17

国立科学研究センター(CNRS)2014年活動報告

2014, une année avec le CNRS

本文:

国立科学研究センター(CNRS)は2015年7月付けで標記報告書を発表した。以下に冒頭部分に掲載されているアラン・フックスCNRS理事長の会見記事の概要を記し、2014年の実績を示す数字を抜粋して示す。

● 2014年実績に関するCNRS
理事長の見解(インタビューでの応答)

Q: CNRSは科学界のランキングでトップに立ち、2014年は新たに一連の大きな業績を残し、科学界の賞も受賞した。これら顕著な成果はすべて順調であることの証拠と言えるか?
A: 厳選された68誌のみに基づいた”Nature Index”がCNRSに第1位の座を与えたのは事実であり、それについて非常に誇りに思うことはもちろんである。このランキングは、大学と研究機関を区別しないという特徴がある。これには互いに影と成るような両者の対立を生じさせないという基本的な利点がある。このランキングは優秀な雑誌に焦点を置いたものである。CNRSが高位にランクされたのは、CNRSの規模が大きいというだけの理由ではなく、CNRSの研究者による科学的成果によるものである。これはフランスの科学が非常に高い水準にあることを示している。CNRSの署名は協力相手の大学と広範囲に共有されており、その全体にとっての誇りとすべきものである。CNRSの研究室の95%強を占める共同研究ユニットに11,000名のCNRS研究者とその倍の大学の教育・研究者が結集していることを忘れてはならない。

Q: CNRSは研究ユニットによる起業に関する調査結果を2014年12月に発表しているが、調査で明らかになった事実は?
A: 第1に、一般的な成果利用とりわけ起業に関してCNRSの支配的地位が明らかになっている。CNRSは大学との協力により、1999年以降1,000件以上の起業、7000件以上の雇用創出に貢献しており、これは研究の成果利用・成果移転に関して極めて建設的な結果である。このような起業は産業界との密接な関係という環境下で生まれたもので、協力契約の件数だけでなく共同研究の件数がそれを物語っている。約1200名の要員を動員して1億5000万ユーロの予算を占める約100件の事例が存在する。CNRS・企業共同研究ユニットは20件以上もあり、その内4件が外国にある。

Q: CNRSは2015年予算で目標額を確保しているか?
A: 国の財政が困難な状況下で、高等教育・研究での予算やポストの削減の影響は他の公共部門に比べて小さく、CNRSは全般的には擁護されている。32.3億ユーロの2015年予算は、前年比で1.3%の減少であるが、基本部分は確保されている。各研究ユニット向けの配賦や各研究院の研究政策実施に必要な資源を維持することは可能である。95%が公的資金に由来するCNRSの収入は、国の補助金の410万ユーロの減少及び自己収入(2015年の見込み額は6億6200万ユーロで、前年より3800万ユーロ少ない)の減少のダブル効果で、少し減少する。自己収入の減少は主として国立研究機構(ANR)によって割り当てられる資金の減少が関係している。

Q: 欧州プログラム(ERC、H2020)へのフランスの参画、特にCNRSの参画は期待できるか?
A: プログラム”H2020″の初年度である2014年の動きは良好である。フランスのチームが欧州の公募に大挙して応募し、独・英の後塵を拝してはいるがファンディングの獲得では全体で成功率18.5%という良好な結果を得た。スペインやイタリアの研究チームなどから大量の応募が殺到したことから、競争はかなり激しいものであった。
CNRSは1,229件のプロジェクト応募登録により、前回プログラム(FP7)の初年度とほぼ同等の参画率となった。目標はCNRSの研究者がペースを保ち、今後の2015年、2016年等の公募にも継続して対応することである。

Q: 2014年は新たに5件の国際共同研究ユニット(UMI)を創設して、CNRSはこのUMIなるツールをフランス科学界の知名度向上に役立てるという目標を追求している。
A: 確かにCNRSは新規5件のUMIにより、国際的に(特にアジアにおいて)フランス科学の存在感を急速に高めており、世界の研究の中心となりつつある。しかしそれは数というよりは、研究領域の多様性やこのような研究室の世界に対する影響力による。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)とはエピジェネティクスと社会科学との関係をめぐる学際性を軸としたUMIを創設した。日本ではイノベーション材料をめぐって繋がりのあるサン・ゴバン社及び物質・材料研究機構(NIMS)と組んでいる。シンガポールでは新規2件のUMIが開設され、1件はメカノバイオロジーの領域で、もう1件は量子計算の領域である。残る1件は沿岸生態系に関する研究で現地の専門能力を活用すべくチリに置かれている。

● 2014年の実績を示す数字

・予算: 3290.43百万ユーロ
(国の補助金: 2568.04百万ユーロ、自己収入: 722.39百万ユーロ)
・職員数: 32,544名
(研究者: 11,116名、技術者: 13,631名、その他: 7,797名)
(2014年の新規雇用: 研究者287名、技術者289名)
・発表論文数: 35,500件
(55%以上が1つ以上の外国の研究室との共著、Nature Indexで最上位にランクされる)
・研究ユニット(unités de recherche): 1,025ユニット、研究支援ユニット(unités de service): 123ユニット
(研究ユニット・支援ユニットの95%が高等教育研究施設やその他の国立・国際研究機関と提携関係にある)
・有効パテント・ファミリー: 4,535件
(2014年のフランス特許出願人の第7位、2014年トムソン・ロイター世界上位イノベータ100機関にランクインしている)
・欧州プログラム”H2020″(初年度)への応募プロジェクト数: 1,229件
(採択プロジェクトは231件で、成功率は18.5%)
・大企業との現行枠組協定: 25件、現行の官民研究組織: 100件
(CNRS・企業間の共管研究室: 23件、ANRファンディングによる中小企業との協力”LabCom”: 17件)
・外国出張: 62,000件
(平均日数: 11日、41,000件が欧州研究圏関連)
・国際共同研究ユニット: 35件
(2014年新設は5件)

[DW編集局+JSTパリ事務所]