[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2015/07/21
抄訳記事公開日:
2015/08/27

中国人科学者、最初のワイルフェルミ粒子を発見:低エネルギーの電子輸送を実現

中科院物理所方忠团队首次发现外尔费米子

本文:

2015年7月21日付の「中国科学報」ネット版は、「中国人科学者、最初のワイルフェルミ粒子を発見:低エネルギーの電子輸送を実現」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

中国科学院物理研究所の方忠研究員が率いる研究チームはこのほど、最初のワイル(Weyl)·フェルミ粒子を発見し、トポロジカル·エレクトロニクス(topological electronics)及び量子コンピューター技術のブレークスルーに対して重要な意義を持っている。

素粒子はフェルミ粒子(fermion)とボース粒子(boson)に二分されるが、フェルミ粒子が物質を構成し、ボース粒子がフェルミ粒子の相互作用を媒介するという役割を持っている。1929年、ドイツの科学者H.ワイルは「線形分散」電子が左手と右手―二つの異なる「キラリティー」(※)を分離することができると指摘した。この「線形分散」電子に「ワイルフェルミ粒子」と命名した。しかし、1929年以降の85年間、ワイルフェルミ粒子が実験で観察されることができなかった。

2015年1月、中国科学院物理研究所の陳富根·研究チームは、原子レベルで平坦な表面を持つTaAs結晶体を調製した。その後、同研究所の丁洪·研究チームは上海同期放射線光源を用いてTaAs結晶体を照射し、ワイルフェルミ粒子が初めて科学者の目の前に現れた。

同チームは「ワイル·半金属は低エネルギーの電子輸送を実現し、電子機器の小型化と多機能化のエネルギー消費問題を解決することが可能になる。それと同時に、ワイル·フェルミ粒子は粒子·対称性によって保護され、トポロジカル量子計算の高耐障害性を確保できる」と表明した。

※キラリティー (chirality) は、3次元の図形や物体や現象が、その鏡像と重ね合わせる性質―掌性。

[JST北京事務所]