[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2015/08/25
抄訳記事公開日:
2015/09/16

気候変動と食の安全性に関する新たな視点

EU project offers fresh perspective on climate change and food safety

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2015年8月25日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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VEG-I-TRADEプロジェクトはEUの資金提供により2010年に開始された食の安全性を評価するプロジェクトである。プロジェクトコーディネーターであるゲント大学のMieke Uyttendaele氏によれば、食料安全保障問題については地球温暖化と関連付けられることが多いが、食の安全については見過ごされがちだという。このプロジェクトは、急速に進展する気候変動や、拡大する国際貿易の中で、生鮮食品の安全性を評価することを目的に実施された。

VEG-I-TRADEプロジェクトの調査から、植物を取りまく微生物生態は、気候や環境、生物学的要因、技術的要因、栽培上の要因による相互作用が複雑に絡み合ったネットワークの影響を受けることが明らかになった。つまりこれらの要因の一つが変化するだけでネットワーク全体が変化し、生鮮食品の安全性に影響が及ぶ可能性があるということである。

主要なプロジェクト成果は、国の所轄官庁や関係業界、民間企業などがガイドラインを強化し、生鮮食品の安全性を高めるためのシナリオを実行するのに利用されることになる。

Uyttendaele氏はまた、このプロジェクトによって対話が拡大し、国際共同の推進を通じて持続的な学際ネットワークが構築された、と話す。成果の一部は現在、地域および世界に向けた研修プログラムのeラーニングモジュールとして利用可能となっている。

VEG-I-TRADEプロジェクトは2014年4月に完了しており、このほどプロジェクトの評価結果が出版された。生鮮食品の安全性を損なわない水の再利用戦略を追及するべきなど、今後の実践課題がいくつか指摘されたが、生鮮食品の安全性に対するプロジェクトのプラスの影響は長く続きそうだ。コンソーシアムのメンバーは、非動物起源の食物中の病原体リスクに関する2013年および2014年の欧州食品安全機関(European Food Safety Authority:EFSA)の意見書や、国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)が共同で設立した国際食品規格委員会レベルでの生鮮食品に関する改訂実施規範(Codes of Practice)の起草に貢献している。またプロジェクトのパートナーは、生鮮食品の生産における衛生と安全性の確保について現在EUが策定中の新しい提言にも貢献している。

[JSTパリ事務所]