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- 国・地域名:
- ロシア
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ロシア大統領府
- 元記事公開日:
- 2015/08/03
- 抄訳記事公開日:
- 2015/09/17
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エンジン製造開発の展望
- 本文:
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ロシア大統領府の2015年8月3日付標記発表記事では、ロシアの機械製造部門の優先領域の一つであるエンジン製造開発の今後に関するプーチン大統領とロゴジン副首相の実務会談の模様を報じている。概要は以下のとおり。
・エンジン製造業の現状
ロシアは、米国、英国、フランス、ドイツと並ぶ世界の5大エンジン生産国の一つである。このセクターにおいてロシアは生産技術のみならず構成材料、ソフトウェア、マイクロエレクトロニクス、高温物理学などの生産サイクルの全てを保有している。これらの全てに膨大な知識の蓄積が必要なことはもちろんである。
それにもかかわらず、ここ数年の間に非常に深刻な立ち遅れが生じている。1970~1980年代には、ロシアのプロジェクトは特に、軍用機向けのエンジン製造において西側諸国の先を走っていた。その成果は今なお活用されており、この時代に開発され1990年代に大量生産に移行した約30種のエンジンが今でも使用されている。現在は、輸入代替に関する問題がある。航空機エンジンの部門では実際にロシアですべてのタイプのエンジンを生産しているが、”Antonov”機(An-12、An-24、An-26、An-124)は例外である。
ヘリコプターに関しては状況がもう少し複雑である。サンクトペテルブルグのクリモフ工場では”VK-2500″エンジンの生産を開始したが、これは基本的に軍事用ハードウェアのニーズを満たすものである。しかし民生用ヘリコプターとなると依然として他に依存している。”Mi-26″ヘリコプターのエンジンはウクライナの”Motor Sich”社が製造しており、Ansatその他の有望なモデルの民生用ヘリコプターのエンジンは、フランス、カナダ、米国に依存している。
・今後の対応策
開発中の新型エンジンが2つある。(民生用の)MS-21機向けの”PD-14″及び次期第2段階攻撃機システム用として開発中の軍事用エンジンである。Tu-160戦略爆撃機用の”NK-32″エンジンに関してはサマラでの生産の回復に前例のない努力をした。
Perm Motors社で進行中の開発業務に基づいた解決策がある。ここでのガス発生器をベースとするエンジンの開発に期待している。このエンジンによると離陸推力を9~16トンとすることで航空機のエンジン範囲を拡張することが可能になる。
これにより結果的に、次期スホーイ・スーパージェットのエンジンの取替、Mi-26ヘリコプターで使用予定のウクライナ製に代わる代替エンジンの開発、将来のロシア・中国大型ヘリコプター向けのエンジン提供、乗客210人を収容するためのMS-21型機の大型化が可能になる。
NK-32エンジンのガス発生器を拡張することでも同じ目標を達成することができる。
[DW編集局]