[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立研究機構(ANR)
元記事公開日:
2015/09/02
抄訳記事公開日:
2015/10/21

ASTERプロジェクトがレアアースの現状を分析

Le projet ASTER fait le point sur les terres rares

本文:

国立研究機構(ANR)の2015年9月2日付け標記報道発表の概要は以下のとおり。

持続可能な方法での生産を模索する業界においては、工業生産に必要な資源の備蓄が進行中である。レアアース(希土類)に関する体系的分析(ASTER)プロジェクトでは、レアアースへの依存に関する課題、その採掘に伴う社会的課題、さらには生産の破綻について研究している。ANRのファンディングを受けたASTERでは、天然資源を責任のある方法で再利用・有効利用する方法にも触れている。

ASTERプロジェクトは、レアアースの流通・在庫状況のマップ作成を目的とした。ASTERの狙いは、欧州における流通・在庫状況の適切な把握、リサイクル時機の明確化、ここ数年緊張が高まっている国際市場環境下での個々のレアアースの戦略的価値の確認である。

現実には中国がレアアースの85~95%の生産を独占しており、輸出制限をかけている。このように人為的に課せられた欠乏状態に加えて、特定のレアアースの戦略的価値に影響を与える別の要因が生じている。例えばテルビウムは地殻中に散在しているものの、需要は減少しており、その供給不足を相殺するリサイクルが可能である。リサイクルでニーズを完全には満たせないその他のレアアースに関しては、環境リスクの最少化を積極的に求める採掘法及び鉱物残滓からの回収処理法などの解決策の開発が必須である。

本プロジェクトではまたレアアースの生産において欧州が果たしうる役割を示している。それは、これらの材料の世界的規模での価値連鎖(採掘から利用まで)を対象とした、欧州主要業界のノウハウによるものである。その一方でASTERは、フランス及びEUはこのような価値連鎖の先にあるエネルギー移行や技術に対して投資を促進すべきであるとも指摘している。このように自国の地下資源の探査と使用済み製品の再利用とを連携させた統合的アプローチによって、欧州は環境保護にも配慮した資源の適切な調達確保が可能になる。

ASTERプロジェクトは、ANRのプログラム「持続可能な生産と環境技術」(Ecotech)の一環として2012年1月に開始され2015年6月に終了しており、55万8,000ユーロの支援を受けた。このプロジェクトは化学大手のソルベイ・グループ、デロイト社のBIO業務室、地質・鉱山研究所(BRGM)、ツールーズのポール・サバティエ大学、ラサール・ボーヴェ・ポリテクニーク学院によって実施された。ASTERのチームと並んで、英国地質調査所が統括する欧州プロジェクトであるユーロレアアース(EURARE)のチームも本プロジェクトに貢献した。

[DW編集局+JSTパリ事務所]