[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2015/09/14
抄訳記事公開日:
2015/11/16

ファクトシート: 地域社会を支える「スマート・シティ」イニシアティブ

FACT SHEET: Administration Announces New “Smart Cities” Initiative to Help Communities Tackle Local Challenges and Improve City Services

本文:

2015年9月14日付のホワイトハウスの標記報道発表の概要は以下のとおりである。

政府は9月14日、新たに「スマート・シティ」イニシアティブを発表した。これは、連邦政府の研究に1億6000万ドル強を投資するもので、25件以上の新規技術共同研究を活用することにより、交通渋滞の緩和、防犯対策、経済成長の促進、気候変動による影響の管理、市民サービスの向上などの主要な課題に取り組む地域社会を支援するものである。この新規イニシアティブは、地方のニーズに合致するように連邦の資金を割当ることで地域社会主導の解決策を支援するという政府の総合的取り組みの一環である。

政府は過去6年間、地域社会がインフラへの投資及び技術職の採用等から地域社会の治安維持に至るまで広範囲の課題に取り組むに当たって、地域に基盤を置く方式で協力してきた。科学技術の進歩には、このような努力を促進する潜在的な力がある。市民リーダー、データ科学者、科学技術者、企業で構成する新興地域社会が「スマート・シティ」(インフラを構築し住民の生活向上に必要なデータの収集、集約、活用の継続的な向上を図る地域社会)建設に参画しようとしている。そこでは、伸張を続けるデータ革命、低コストのセンサー、共同研究が活用され、しかも安全性とプライバシーの保護は確保される。

本イニシアティブの一環で政府は次のような発表を行った。

・国立科学財団(NSF)及び国立標準技術研究所(NIST)による新規助成金に3500万ドル強及びスマート・シティ研究インフラ構築の為に投資に1000万ドル強。
・国土安全保障省(DHS)、運輸省(DOT)、エネルギー省(DOE)、商務省(DOC)、環境保護庁(EPA)による新規支出に約7000万ドル、安全性、エネルギー、気候対策、輸送、保健等の新たな解決策を切り開く為の投資に4500万ドル強。
・市民リーダーによる大学・産業界との効果的な協力を支援する為の新規の主要な複数の都市による協力活動に20都市以上が参画。

政府の「スマート・シティ」イニシアティブは、次の主要戦略に重点を置いて開始される。

・「モノのインターネット」アプリケーション向けのテストベッドの作成、及び新たな複数セクター協力モデルの開発
・市民の科学技術活動との協力、及び都市間協力の構築
・既存の連邦レベル活動の活用
・国際協力の推進

上記努力を補完するため大統領科学技術諮問会議(PCAST)は、多様な技術によって都市の将来や都市住民の生活の質の向上を図る方法を検討している。ネットワーキング・情報技術研究開発(NITRD)プログラムでも、(基礎研究を誘導して拡張可能で複製可能な「スマート・シティ」方式を推進する)連邦政府機関の投資や外部の協力の調整に役立つ新たな枠組の開始を発表する。この領域におけるこのような政府業務の拡大は、大統領の2017年予算案作成過程で行政管理予算局(OMB)及び科学技術政策局(OSTP)が発行する科学技術優先順位覚書(Science and Technology Priorities Memo)に反映される。これにはサイバー・物理システム及びスマート・シティの重点化が含まれる。

政府が今回発表した主要措置には次のものがある。

[スマート・シティ向けの研究インフラ構築]

・NSFはスマート・シティ関連の助成金として3500万ドル強の助成を発表し、2016年度には新規投資を計画する。
・国立標準技術研究所(NIST)は2016年度にスマート・シティに500万ドルの投資を計画し、次なる”Global City Teams Challenge”を開始する。

[国家的優先課題の新たな解決策の発掘]

・DHSではスマート・シティの最先端の緊急対応技術開発に5年間で5000万ドルを投資する計画を発表する。
・DOTではスマート・シティの輸送手段を前進させる為に4000万ドル強の新規ファンディングを発表する。
・DOEではスマートでエネルギー効率の良い、低排出の都市の出現を支援する為に約1000万ドルを投資する。
・DOCの経済開発局(EDA)では、(地域社会の最も差し迫った問題に対して地域で育まれた解決策の促進にあらためて重点を置く)地域イノベーション戦略による新規1000万ドルのファンディングを企画する。
・EPAでは環境のモニタリングと解析にスマート・シティ方式を活用する新規措置を発表する。
・米国国勢調査局(Census)では有益なデータを地域社会や市民イノベータが利用できるようにするオープンソースの”CitySDK”プロジェクトを拡大する新規措置を発表する。

[スマート・シティを支援する新規の複数都市協力]

・20以上の都市・大学が協力して、来年(2016年)には60件以上のスマート・シティ・プロジェクトを擁する「MetroLabネットワーク」を開始する。
・全国規模の新規非営利団体”Envision America”では、エネルギー、水、廃棄物、大気の課題解決に取り組む革新的技術の展開を促進することで、米国の都市をよりスマートにするチャレンジを開始する。

[民間及び地域社会リーダーによるその他の新規措置]

・シカゴに本拠を置く”City Digital”では、主要な都市インフラの課題に焦点を当てた2件のプロジェクトを開始する。
・ダラス市では「ダラス・イノベーション連合」を立ち上げる。
・IBM社はデトロイト市に「スマート・シティ・チャレンジ」チームを展開する。
・全米都市連盟及び25の地方自治体は、2015年の「複数都市イノベーション・キャンペーン」の受賞者を発表する。
・ニューヨーク市では5つの区で一連の周辺区域イノベーション・ラボを創設する。
・シーメンスUSA社では「カーボン・ニュートラル都市連合(CNCA)」を支援する。
・サンフランシスコ地域では次回「スーパー・ボウル」の開催に備えて公衆の安全を強化するための協力関係を形成する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]