[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2015/10/20
抄訳記事公開日:
2015/12/25

エネルギー効率に優れたコンピューティング

NEW REPORT ON ENERGY-EFFICIENT COMPUTING

本文:

2015年10月20日付の国立科学財団(NSF)によるコンピューティングに関する発表記事の概要は以下の通りである。

セミコンダクター・リサーチ・コーポレーション(SRC)とNSFが共催のワークショップに基づく報告書は、コンピューティングの進歩の制約要因、特にエネルギー消費に関連するものを列挙し、これらの障壁を乗り越える可能性がある新規研究について言及している。

報告書の調査結果と提言は、大統領行政府の科学技術政策局により発表されたナノテクノロジーに触発された「将来のコンピューティング分野のグランド・チャレンジ(課題達成型研究開発に対する公的支援の枠組み)」と同じ方向を目指す。本グランド・チャレンジでは、人間の脳と同等の効率で稼働するコンピューティング・システムを実現するための新しいアプローチを呼びかけている。

性能向上についての現状は、システムのオーバーヒートと熱管理上の問題に直結するエネルギー効率の悪さによって制約を受けている。コンピューターチップ中の電子回路はいまだにエネルギー効率の基礎的な制約からほど遠い環境で稼働し、コンピューターが消費するエネルギーの大部分はデータをメモリーとそれらの中央演算装置の間を行き来させるために消費されている。性能向上のペースが減退する一方で、ユーザーが作り出すデータの量は爆発的に増加している。2014年のIDCの研究によると2020年までには年間44ゼタバイトのデータが作成されると予測されている。

新しいデバイスとこれらのデバイスに基づいた新アーキテクチャーはコンピューティングを今日の技術の限界を跳躍する可能性が在り、社会にもたらされる利益は莫大なものとなる。これらの利益を実現するためにはコンピューティングにおける新たなパラダイムが必要となる。4月に開催されたSRCとNSF共催のワークショップでは産・学・官からの専門家を交えて、進歩や今後研究すべき有望な新コンセプトの制約となっている主な要因の特定を行った。報告書はワークショップでの討議を反映するもので、エネルギー効率の優れたコンピューティングに関する将来の基礎研究に対する投資指針を与えるものである。報告書は「IT革命の再起動(Rebooting the IT Revolution)」と題した従来の報告書を基に作成された。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]