[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
科技日報
元記事公開日:
2016/01/08
抄訳記事公開日:
2016/02/05

中央財政、科学研究資金の投資額をいかに定めるか

中央财政科研资金“盘子”怎么定

本文:

2016年1月8日付の「科学日報」ネット版は、中央財政支出における科学研究資金の投資額をいかに定めるかと報じた。本記事ではその概要をまとめる。

2014年度全国科学技術経費の投資額統計によると、国家財政のうち科学技術関係としての支出額は6,454.5億元(約12.8兆円)、昨年より269.6億元(約5200億円)増加した。中央財政による科学技術の支出額は6.3%増の2,899.2億元(約5.6兆円)であり、財政科学技術支出の44.9%を占めた。

このような莫大な財政科学研究資金をどこに投資するか、投資額はどのように決められるか、これらの問題は注目を集めた。これに対し、中国科学技術発展戦略研究院・科学技術投資研究所の郭戎所長は、「一連の制度設計及び改革を通じ、国家財政による科学技術への投資は、より国の経済・社会発展における重大なニーズに焦点をあて、科学技術イノベーション創出に向け、さらに資源配分を最適化する」と答えた。

これまで、中国は中央財政による科学技術プロジェクト及び特別プロジェクトを100件近く持ち、毎年1千億元(約2兆円)近くの資金におよび、これらのプロジェクトは40近くの部門によって管理されている。郭戎所長は「『中央財政科学技術計画(特別プロジェクト、基金等)管理における改革深化計画』が公表されてから、国は科学技術分野の中央財政支出について、積極的に改革・統合・調整を行った」と述べた。

過去1年間において、中国は科学研究プロジェクト及び資金管理を改革し、分割管理、重複、無駄遣い、平均主義等の状況をよく改善した。科学技術プロジェクトは、国家自然科学基金、科学技術重大特別プロジェクト、重点研究開発計画、技術イノベーション牽引特別プロジェクト(基金)、基地及び人材特別プロジェクトの5つの種類に分類され、それぞれ違う点に重点を置いている。

例えば、国家自然科学基金は学問の自由を探求することが重んじられる。重大特別プロジェクトは主に国の重要な戦略的製品等のニーズに応じる。重点研究開発計画は国家経済と人民の生活に関わる重大な社会公益性に関する研究及び重大な科学技術的問題に取り組む。技術イノベーション牽引特別プロジェクトは、企業による科学技術に対する投資を促し、科学技術成果の移転を促進する。基地及び人材特別プロジェクトは、科学研究の展開に条件と保障を提供するという点に重きを置いている。

郭戎所長によると、「新しい国家科学技術プロジェクト及び資金管理システムの最初段階における構築が完了し、その核心は、『1つのプラットフォーム、3つの柱、1つの基礎』にある」と述べている。

具体的には、「1つのプラットフォーム」は科学技術が主導し、財政部、発展改革委員会等の部門が参与した部門間連携会議制度を指す。過去の科学技術プロジェクトの分割管理モデルを一変して、部門間調整メカニズムを設立することで、それぞれのプロジェクト管理部門が協力しない状態が減り、プロジェクト応募の重複を有効的に回避し、科学技術プロジェクトに対する管理が分割状態でなくなるとのことである。

また、『3つの柱』は戦略的なコンサルティング、総合審査委員会、専門機関及びモニタリング・評価・動的調整メカニズムを指す。戦略コンサルティングとは諮問・評議する『シンクタンク機構』を立ち上げることと同様の意味である。また、総合委員会では国が所管する重大プロジェクトを広範囲で諮問・評議を行う。連携会議は審議結果に応じて政策決定を行うことである。

専門機関の構築は社会の注目を浴びている。過去において、政府部門は直接的にプロジェクトを管理していたが、これについてプロフェショナルでないという声があった。現在は、すべてのプロジェクト管理を専門機関に任せ、政府部門が直接的に科学技術プロジェクトを管理しないようになってきている。これは国際的に共通な管理方法の流れになっている。2015年に関連部門は徐々に専門機関を選別・管理する方法を模索しており、これも改革の重要な一環である。

モニタリング・評価・動的調整メカニズムの創設で、実施中の科学技術プロジェクトは具体的な実施状況に応じてタイムリーに調整できる。これも今回の改革において重要な点のひとつである。以前のプロジェクト管理モデルとは違い、科学技術プロジェクトは適宜調整できるようになった。科学技術プロジェクトは実施において、開始段階で設定された要求に達成できない場合、相応に調整しなければならない。必要であれば、中止することになるということも示している。

『1つの基礎』とは、主に科学技術管理情報システムの構築を指す。これはプロジェクト開始、報告及び書類資料の送付、審査、重複のチェック等の効率を大幅に向上させ、成果移転で起きた情報の齟齬を減らすことが期待される。

[JST北京事務所]