[本文]

国・地域名:
ロシア
元記事の言語:
英語
公開機関:
ロシア大統領府
元記事公開日:
2016/01/21
抄訳記事公開日:
2016/03/09

大統領付属科学教育評議会会合におけるプーチン大統領の発言

Meeting of Council for Science and Education

本文:

ロシア連邦大統領府の2016年1月21日付標記発表記事では、「長期研究・技術開発戦略」の策定・実施をテーマとする大統領付属科学教育評議会会合におけるプーチン大統領の発言内容を報じている。概要は以下のとおり。

本評議会の前回会合において、ロシアの研究・技術開発に関する長期戦略の策定を決めた。秋までには準備を整える必要がある。同時に、この戦略の実行に必要な特定の実践的手段も遅滞なく作成する必要がある。そうすることで世界的動向や課題を考慮に入れ、社会や経済界の要請に応え、新しい技術、科学的知識、教育の能力に対応することができる。

独自の先進技術を保有することは、国家の主権と安全保障、国内企業の競争力にとって最も重要な要素であり、経済成長や国民の生活水準向上のための前提条件でもある。これを念頭に置くと、当該研究・技術開発戦略は、国家安全保障戦略と同じくらい極めて重要な文書の一つであると考える。政府には適切な法改正を行うようお願いしたい。

過去数年間、研究インフラや研究人材ポテンシャルを強化し、大規模研究プロジェクトを可能とする基盤の構築を行ってきた。その結果、若手研究者の数は著しく増加し、特に顕著であるのは、応用研究および特定の課題解決型基礎研究を行う機関に在籍する若手研究者の数である。一部の研究分野では39歳以下の割合が50%を超えるところもある。

モスクワ大学、サンクトペテルブルク大学、連邦大学および国家研究大学など、主要な高等教育機関が研究活動においてますます積極的な役割を果たしている。外国の専門家らもロシアの高等教育の能力向上に注目している。2015年には自然科学においてロシアの3大学が世界の上位100位以内に入った。原子力、航空、宇宙の諸分野における世界クラスの「国立研究センター」の創設にむけて大変な努力が払われてきた。また、先端学術分野での知的、人的、物的資源を一体化し、これを基に「連邦研究センター」が創設された。当該研究センターは然るべき権限を与えられ、遺伝子技術、バイオテクノロジー、化学における大規模な学際的研究を実施することを目指している。

ロシアには今や150を超える強力な国立の研究機関、研究センター、高等教育機関があり、世界および自国の研究において顕著な貢献をしている。これら150機関は、国内発特許の70%、また、国内の高被引用度論文の80%を占めるなど、大きな比重を占めているが、ロシア全土にある国立の教育・研究機関の10%に過ぎない。問題はその他の機関が何をしているかである。

研究資金は、国家にとって最も重要な分野の技術的ブレークスルーを起こし、世界の主要な研究センターと競合でき得る、強力な研究チームにあてられるべきである。まさにこのようなロジックで、国家の研究・技術開発のファンディングの優先順位を決めなければならない。政府には効率的な仕組みを構築するようお願いしたい。

研究・技術開発戦略を実行する場合の主要な原則は、学術界、教育界、産業界、および国家の間の密接な相互関係にあり、実際の結果に対して共同で責任を負うことである。そこでは、優先分野ごとに専門の評議会を設置することとする。この評議会は厳密には各部門別になるが、純粋に専門研究領域に限定すべきではなく、広範な目的や任務を担うべきものである。これには研究機関、高等教育機関、ロシア科学アカデミー、国有企業が関与すべきなのはもちろんであるが、重要なことは、民間企業、中小のイノベーション企業を巻き込む点である。政府とロシア科学アカデミーには、このようなチームを2016年末までに結成し、その活動の詳細かつ明確なメカニズムを開発するよう要請する。それによって個々の決定を迅速に行い、設定した目標を達成することが可能になる。

[DW編集局]