2015年12月23日付の「中国科学報」ネット版は、「教育部、2015年度中国大学十大科学技術進展を発表」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
2015年12月15日、教育部科学技術委員会によって選出された「2015年度中国大学十大科学技術進展」が北京で発表された。詳しくは次の通り。
一、北京大学（責任者：喬傑）ゲノムネットワークにおけるヒト始原生殖細胞発生過程の表現形遺伝学研究：胚形成におけるゲノムのリプログラム、遺伝性疾患、隔世遺伝等の研究に重要な意義を持つ。
二、北京大学（責任者：呉学兵　協力機関：中国科学院雲南天文台、中国科学院上海天文台）初期宇宙で一番明るく発光し、銀河中心で質量最大のブラックホールを発見：初期宇宙でブラックホールの形成及び銀河進化理論に挑戦し、世界で強い注目と関心を引いた。
三、北京航空航天大学/生物・医学工程（バイオ・医用工学）学院（責任者：劉紅　協力機関：北京航空航天大学）月面基地生命保障人工密閉生態システム実験装置「月宮一号」の自主開発：今後、宇宙ステーションで作業、月有人飛行、火星探査等における生命保障に関する理論及び基礎技術を提供。
四、北京協和医学院/基礎学院（責任者：曹雪涛　協力機関：第二軍医大学）　炎症収束及び免疫恒常性制御の新メカニズムに関する研究：免疫学と表現形遺伝学の交差研究に新たな方向性を示す。
五、第三軍医大学（責任者：鄒全明　協力機関：無湖康衛生物科技有限公司）オリジナル新薬-経口ヘリコバクター・ピロリ菌（Helicobacter pylori) ワクチンの開発：中国が自主的な知的財産権を持つ世界初のヘリコバクター・ピロリ菌（Helicobacter pylori) ワクチンである。
六、ハルビン工業大学　（責任者：趙航　協力機関：中国工程物理研究院•レーザー核融合研究センター）　照射用レーザー装置「神光III」の射的場光電子及び制御システムの開発：中国の超マルチビームレーザー装置の研究開発に堅固な技術基礎を打ち立てる。
七、蘭州大学　（責任者：陳発虎　協力機関：北京大学、青海省文物考古研究所、中国社会科学院考古研究所、ケンブリッジ大学、ワシントン大学•セントルイス校、ピッツバーグ大学）先史時代に人類が高海抜である青蔵高原へ移動・定住した最たる要因はユーラシア大陸の農業伝播・発展である：チベット民族の中国黄河流域の起源に有力な科学的根拠を提供する。
八、清華大学　（責任者：施一公）高分解能の酵母スプライセオソーム(Spliceosome)三次元構造及び基本的動作メカニズムの研究：分子生物学の基本法則を完全なものにして、中国のライフサイエンス領域における劇的な発展を起こす。
九、中国科学技術大学（責任者：杜江峰教授　協力機関：中国科学技術大学）ナノスケールでの量子精密計測に関する研究：率先してナノスケールの距離分解能と単量体鋭敏性を持つ磁気共鳴の探測方法・技術を実現し、今後、物理、化学及びライフサイエンス等の分野において広範な応用が期待できる。
十、中南大学　（責任者：胡岳華　協力機関：中国五鉱集団公司•柿竹園非鉄金属有限責任公司、中国五鉱集団公司•郴州フッ素化学有限責任公司）　ニッケル（nickel）、モリブデン（molybdenum）、タングステン (tungsten) 資源の高効率利用：同研究は他の複雑な非鉄金属鉱物の高効率グリーン利用に重要な意味を持っている。

[JST北京事務所]