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- 国・地域名:
- ロシア
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ロシア大統領府
- 元記事公開日:
- 2015/12/07
- 抄訳記事公開日:
- 2016/03/10
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プーチン大統領が国立研究センター・クルチャトフ研究所所長と会談
Meeting with Director of National Research Centre Kurchatov Institute Mikhail Kovalchuk
- 本文:
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ロシア大統領府の2015年12月7日付標記報道によると、プーチン(Vladimir Putin)大統領は国立研究センター・クルチャトフ研究所のコヴァルチュク(Mikhail Kovalchuk)所長と会談し、クルチャトフ研究所の活動の現状と国際研究プロジェクトへの参加状況について報告を受けた。概要は以下のとおり。
クルチャトフ研究所は元々原子力研究所であったので原子力技術が主要な事業領域である。ロスアトム(原子力公社)とも密接なコンタクトがあり、研究管理機関としての役目を担い、重要な新規分野全般において構想や指針を定めている。
ムルマンスク州から遠くない北極圏において、放射性廃棄物を処分するための環境事業プログラムが10年前に開始された。これはとてつもなく大きな事業で、これまでの数年間にこの広大な地域が放射性廃棄物の処理・保管を目的としたユニークなセンターへと変容していった。現在、原子力潜水艦からの74基分がここで長期保管され、厳重な監視の下で処理等がなされている。さらに固形廃棄物を処理するための全く新しい施設をここに建設した。放射能で汚染された物体は完全な処理工程を経て、その後保管される。その量は莫大である。
ここには莫大な量のノウハウ、構想、研究の統率力、不活性化その他のプロセスの方法や技術の開発がある。この施設を建設したのはクルチャトフ研究所であるが、その運用は既にロスアトムの一部門である放射性廃棄物管理北部連邦企業体(SevRAO)に移管されている。
クルチャトフ研究所は研究機関として新規分野、新規業務に関与している。原子力は今や原子力から電力への直接変換という全く新しい原理に基づいて稼動しつつある。これは海軍の展開に新たな可能性を開くほか、海上工事を進めるにあたりエネルギーを供給できる新規自立型の原子力を動力源とする装置を作製する機会をもたらすものである。またロシアの広大な土地を考えると、地方のエネルギー供給にも新たな可能性が出てくる。
この技術の設計・試験はすでに行われており、実験運用を通して完璧に安定かつ堅実な結果を得ている。この他の進行中の重要プロジェクトとして、浮体式原子力発電所の開発がある。これは長年、純粋な研究レベルの構想であったが、今日では現実になりつつある。
トカマクを使用した熱核融合の構想を初めて提案したのはクルチャトフ研究所であった。高速中性子炉、シンクロトロン、加速器、トカマクなどの大規模施設は、高度に複雑で非常にコストがかかる。このような装置を建設・所有できる国はごく少数であるが、ロシアはそのような能力のある主要国の一つである。
欧州ではCERNが、現在100億ドル強のコストをかけてニース近郊に国際熱核炉を開発中である。また欧州X線自由電子レーザー施設(XFEL)及び新規の加速器複合施設をドイツに展開中である。ロシアは初めてこれら全てのプロジェクトにおいて完全に対等なパートナーとなっている。またレーザーやトカマクなど半数のプロジェクトにおいて構想の策定や進路の設定に関与している。
国際科学コミュニティとの密接なコンタクトと合わせてロシア国内での研究にも注意を向け、自国内の大規模施設での取り組みも開始した。2年半前にガッチナにあるPIK(ハイビーム炉)プロジェクトを新たに立ち上げた。世界で最も強力なハイビーム炉で、すでに世界中から大きな関心が寄せられている。
クルチャトフ研究所は、ITER(国際熱核融合実験炉)プロジェクトにも参加して資金面と技術面で相当な寄与をしている。ロシアは、参加8か国の中で独自の熱核融合プログラムを持たない少数国の一つである。この分野の国家プログラムを持てるよう期待する。
[DW編集局]