[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
科技日報
元記事公開日:
2016/01/25
抄訳記事公開日:
2016/03/11

2015年度中国の生命科学領域における10大ブレークスルー

揭示科学新奥秘 打开技术新大门

本文:

2016年1月25日付の「科技日報」ネット版は、2015年度中国の生命科学領域における10大ブレークスルーを紹介した。本記事ではその概要をまとめる。
中国生命科学領域における傑出した科学研究成果を社会実装するために、中国生命科学学会連合体は、2015年度「中国生命科学領域における10大ブレークスルー」の審査を行い、生命科学領域における10大ブレークスルー(順不同)は次の通りである。

① 中国科学院植物研究所の種康研究員及び中国水稲研究所の銭前教授が行った水稲の低温感受性の仕組みに関する研究は、水稲が熱帯・亜熱帯から温帯地域(中国の東北地域等)に移動する重要な仕組みを提示した。世界の食料不足に新しい解決策を提示した。
② 武漢大学の宋保亮教授が率いた研究チームは、コレステロールの細胞内輸送機構を解明し、ペルオキシソームの機能障害がおこる疾病を治療する可能性を提示した。
③ 北京大学の鄧宏魁教授は、リプログラミングにおける中間状態の発見及びリプログラミング技術によって、小分子化合物が体細胞のリプログラミングを誘導するメカニズムを発見し、再生医学に新しい可能性を提示した。
④ 第三軍医大学の鄒全明教授、中国食品薬品検定研究院の曾明教授、江蘇省疾病予防コントロールセンターの朱鳳才教授は、10年間にわたる絶え間ない努力によって、経口ピロリワクチンを開発し、慢性胃炎と胃がんの予防に新しい手段を提供した。
⑤ 清華大学の施一公教授が行ったスプライセオソームの3次元構造及びRNAスプライシングの分子構造に対する基礎研究は、スプライセオソームの働きの原理を解明し、RNAスプライシングの進行過程の解明に役立った。
⑥ 北京大学の謝燦教授は磁気受容体タンパク質「MagR」を発見し、生物体が磁場の変化を感受する分子メカニズムを明らかにした。同発見は磁場による生体高分子の性質制御の促進に可能性を示し、生物移動の謎の解明に役立った。
⑦ 中国科学院植物研究所の匡延雲教授と沈建仁教授は協力し、高等植物の光化学反応系Ⅰ(PSI)光合成膜タンパク質超分子複合体の結晶構造を解析し、作物の太陽光エネルギー利用率の向上、生体シミュレーション、太陽光エネルギー利用法の開拓に重要な理論と方法を提供した。
⑧ 北京生命科学研究所の邵峰教授及びアモイ大学の韓家準教授は、それぞれにピロトーシスの新しいメカニズムを発見し、自己免疫疾患及び炎症性疾患に新たな理論を提供した。
⑨ 北京大学の湯富酬教授及び喬傑教授は、ヒト成長におけるヒトの始原生殖細胞の遺伝子発現ネットワークのエピジェネティクス制御を分析することに協力し、ヒトの初期胚発生における遺伝子及びエピジェネティクス制御に新たな理論・方法を提供した。
⑩ 浙江大学の張伝渓教授は、トビイロウンカの表現型可塑性(長翅、短翅)に関する分子スイッチを発見した。同研究は害虫の予防・退治において重要な役割を果たしている。

[JST北京事務所]