[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2016/02/04
抄訳記事公開日:
2016/04/08

年度特別観察:中国科学技術、キャッチアップから先頭へ

年度特别观察:中国科技,从跟跑迈向领跑

本文:

2016年2月4日付の「中国科学報」ネット版は、「年度特別観察:中国科学技術、キャッチアップから先頭へ」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

2015年、科学技術における中国の存在感が強くなっている。その要約は以下通りである。

一、海外市場の開拓:
1. 近年、中国の通信機器最大手であるフアウェイ技術(HUAWEI)は米国、ドイツ、インド等に10余りの海外研究開発センターを設立し、モバイル技術の最先端をゆくアップルとサムスン電子と競争できる状況となっている。
2. TCLグループ(広東省恵州市に本社がある電気機器メーカーで、携帯電話、 パーソナルコンピュータ、家電機器、照明、電子媒体を国内外に販売する)は、シリコンバレーに海外研究院を設立。40人余りの研究員、エンジニア等が、技術及び米国現地サービスの開発を行っている。

二、認知率の向上:
1. 現在、中国の世界ハイレベル科学研究への寄与度は米国に次ぎ世界2位に浮上し、科学技術論文数は長年に渡り世界2位を維持している。高被引用回数は世界4位となり、国際学術誌である「ネイチャー」、「サイエンス」等での論文発表数も増加しつつある。
2. 以下の研究成果は基礎研究において量から質の向上への変化を示すものである。
(1)中国科学技術大学の潘建偉、陸朝陽教授が率いる研究チームは初めて「単一光子多自由度の量子テレポーテーション」の実現に成功し、欧州物理学会から「2015年 トップ10の国際物理学研究のブレークスルー」の一つに選出された。
(2) 中国科学院物理研究所の方忠研究員が率いる研究チームは最初のワイル(Weyl)·フェルミ粒子を発見した。
(3)清華大学 生命科学学院の施一公教授が率いる課題チームは高解像度のスプライソソーム(spliceosome)三次元構造図を取得し、構造生物学の最大の難題の一つを解明した。
3. 2015年、中国は航空宇宙領域において19回のロケット打ち上げで、45基の通信・探査衛星の打ち上げに成功し、宇宙開発技術を大きく加速させた。
4. 重要研究基礎施設、重大プロジェクト、ビッグサイエンス・プロジェクト等の科学技術分野における重要な進展があり、以下の3つの点で人々の注目を集めている。
(1) 2015年1月、中国で初めて「バイオセーフティレベル(BSL)」が最高の感染症・伝染病実験室、中国科学院武漢バイオハザード高度安全実験室が完成し、強い病原体の研究が可能となった。
(2) 2015年10月、中国の薬学家である屠呦呦氏が、抗マラリア薬であるアーテミシニンの発見により中国初のノベール生理学・医学賞を受賞した。
(3) 2015年11月、中国の自主開発した初の国産大型機「C919」は、中国商飛公司の浦東工場で正式にラインオフした。

三、商用、民営資本を科学研究へ投入:
1.  9月、中国は小型衛星20基を搭載した新型ロケット「長征六号」の打ち上げに成功し、中国の宇宙事業における1つのロケットによる複数の衛星打ち上げの新記録を打ち立てた。長征六号の打ち上げ成功により、中国の通信衛星は国際市場に力強く進出した。
2. 上海海洋大学が、国家と民営資本により、南中国海の水深4000mでの深海底着陸器と無人潜水艇の初の技術実証試験を行った。
3. 12月、民間資本と国家資金の融合により、中国国家海洋局第二海洋研究所と浙江太和航運有限公司が共同建造した、中国初の遠洋科学調査船「向陽紅10号」が海洋調査を開始した。

四、重要なインパクト:
科学技術体制改革の深化、重要な科学研究成果及び海外市場への開拓等を通じて、中国の科学技術の世界的影響力が急上昇した。

[JST北京事務所]