[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国民教育・高等教育・研究省(MENESR)
元記事公開日:
2016/02/29
抄訳記事公開日:
2016/04/13

「農業・イノベーション 2025」計画の始動

Lancement du plan "Agriculture-Innovation 2025"

本文:

国民教育・高等教育・研究省の2016年2月29日付標記報道発表の概要は以下のとおり。

フランスの農業は多くの困難や危機に直面しており、経済的な支援策が必要であるが、その一方で、農業はイノベーションや創造の巨大な宝庫でもある。将来において、研究をより強力に活用し、その先進知識を競争力や環境性能の両面でどれだけ利益に変えることができるかによって、農業のゆくえが決まってくる。公共研究開発支出の約10%を農業及び農産物加工分野に充てるフランスは、この領域の研究開発に最大の投資をしている欧州諸国の1つである。

政府は、2015年10月22日政府に提出された報告書を基に、「フランスの農業・生態系プロジェクト」と連動するロードマップを策定した。さらに「国家研究戦略」では農業の主要課題に取り組む研究・イノベーション・プロジェクトの計画及びファンディング方針の概要が示された。「農業・イノベーション 2025」計画は次の4点に重点を置く。

●農地土壌、農業、気候に関する研究の強化

農地土壌は大きな炭素貯蔵能力を持っている。フランスはこの課題に関する大型国際プログラムのファンディングにおいて応分の分担をする。国立研究機構(ANR)を通じて400万ユーロ規模の支援を行う。また土壌中の炭素に関する世界規模のデータの電子情報インフラの受け入れを提案する。国内レベルでは土壌に関する科学技術専門情報の統括ネットワークを設置する。

●農業を国家研究戦略(SNR)の中心に位置づける

SNRの戦略方針の中で「優先施策プログラム」5件中3件が、農業の課題に特化した研究プロジェクトに活用される。また昨年、首相が発表した”Instituts Convergences”(収斂型研究機構)の一環で、「将来への投資」プログラムによる2億ユーロのファンディングを受けることで、「農業・イノベーション 2025」ミッションの特定した優先課題(気候、システム生物学・バイオテクノロジー、ビッグ(ディジタル)データ)に関する学際的イニシアティブが強力に推進される。

●電子情報技術と農業を結合させた展開を図る

最近の防疫上の危機的状況を見ると、早期診断や当事者間の迅速な情報伝達の体制強化が必要なことは明らかである。その意味で、センサー技術、関連の電子情報サービス技術の新規開発が強化される。農業・農村振興特別割当勘定(CASDAR)による「技術研究」プロジェクト公募では、早期防疫を狙ったバイオセンサー開発の為のファンディングが強化されて、年400万ユーロに達する見込みである。

●全国各地でのオープン・イノベーションを促進するための「現場研究室」の創設

全国各地のエコシステムにおいて各農業従事者、各企業、各研究・教育機関が連携してイノベーションを促進することが、本ミッションが特定する「現場研究室」の目標である。

[DW編集局+JSTパリ事務所]