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国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学技術協会(CAST)
元記事公開日:
2016/03/29
抄訳記事公開日:
2016/04/14

中国科学技術協会(CAST)の組織改革推進の実施計画が公表

中共中央办公厅印发《科协系统深化改革实施方案》

本文:

2016年3月29日付の中国科学技術協会の公式ウエッブサイトでは、CASTの組織改革推進の実施計画の全文が公表されたと報じた。本記事ではその概要をまとめる。

中国共産党中央による全面的な改革推進のための全体配置及び「中国共産党中央が党の群団(*1)業務を強化・改善する意見」に基づき、「科学技術協会の組織改革推進の実施計画」が公表された。

同計画は3つの側面、すなわち、①国家が科学技術の発展をいかに推進していくべきかという先進性に関する側面、②科学技術に携わる個人や団体と党や政府がどのように結束していき、国家の発展に寄与していくべきかという政治性に関する側面、③国民と科学技術の関係性をどのように密に発展させていくかという大衆性の側面、を踏まえて作られた。基本原則として、政治的な指導の強化、国民との更なる密接な意思疎通の強化、顕著な問題解決型を志向、学会の主体的地位の強化、プラットフォームなどのシステム強化という5つの原則を踏まえて、全体目標などが設定された。

改革項目として、科学技術関係者の組織の体制強化や連携強化、学会管理の全面的な改革、社会のためのイノベーションサービスの強化、科学技術関係者による政治的役割の強化などが挙げられた。
体制強化において、注目すべき具体的な改革内容は以下のとおりである。

1.科学技術協会の指導層において、科学技術の活動に従事する末端のスタッフの割合を向上させ、代表性と広汎性を増強する。中国科学技術協会全国代表大会の代表の広汎性を拡大し、企業、大学、科学研究院(所)、農村など第一線で活躍している科学技術者の割合を58%から65%位に、45歳以下である若手科学技術者の割合を3分の1以上に向上させる。同時に、新経済組織(*2)、新社会組織(*3)、新型研究開発機構及び戦略的新興産業の代表人物を招致し、指導層の割合を減少させる。

2.科学技術協会の指導層の構成を最適化し、第一線で活躍している中国科学技術協会全国委員会委員の割合を58%から75%位に向上させる。副主席の候補者を各業界の第一線で活躍している科学技術者から選出し、交替制を採用する。科学研究機構、大学及び学術機構から1名の書記処書記を選挙で選出し、任命する。書記は、原籍に職務を保留したまま、最低1年間任務を遂行する。

3.科学技術協会機関の改革を深化させ、より直接的に末端の機構にサービスを提供するメカニズムを構築する。2016年末までに、科学技術協会に属する事業単位を13か所に、事業単位の人員編制におけるスタッフを1,120人位に減少させる。末端の機構にサービス資源を傾斜配分し、一部の直属単位を撤廃・合併する。

4.末端の科学技術者に向ける企業イノベーション・サービスセンター、全国「双創(創業・イノベーション)」サービスセンター、農村技術サービスセンター、イノベーション戦略研究院、国際科学技術交流センター、研修・人材サービスセンター等を構築・再編する。各機関・部門・直属単位は第一線で科学技術活動に従事する人員をメインに、業務サービスを提供すべきである。

(*1)群団組織:「群衆(市民)団体組織」の略称であり、現代中国の団体の1つである。中華全国総工会、中国人民対外友好協会、中国科学技術協会等22団体ある。
(*2)新経済組織:私営企業、外資系企業、香港・マカオ・台湾系企業、株式合作企業、個人経営者など各種の非公有制独資の経済的組織を指す。
(*3)新社会組織:社会団体と民営非企業団体・機関の総称であり、「新経済組織」と共に「2つの新組織」と呼ばれている。

[JST北京事務所]