[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)
元記事公開日:
2016/01/27
抄訳記事公開日:
2016/04/19

BIS大学・科学担当大臣の講演: 国際共同研究の推進と次世代研究者支援

Johnson sets out measures to make UK best place in world to do science

本文:

ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)の2016年1月27日付標記報道発表の概要は以下のとおり。

ジョー・ジョンソン(Jo Johnson)大学・科学担当大臣は科学・工学キャンペーン(CaSE)の年次講演において、英国の国際研究協力関係や欧州の研究パートナーとの強固な連携関係の重要性を強調するとともに、新規にファンディングを実施することを発表した。当該ファンディングは、英国が最先端の国際研究を遂行するだけでなく、次世代の世界クラスの科学者を活気づけることにもつながる。その概要は次のとおり。

・国際研究向けのニュートン・ファンドを、現行の年7,500万ポンドから2021年までに年1億5,000万ポンドへと倍増する。これにより2014~2021年の投資総額は7億3,500万ポンドになる。このファンドにより、英国の科学者が発展途上国や新興市場における大学や研究者と協力して、当該地域の経済発展と英国の研究基盤の両方を支援することが可能となる。
・英国政府とウェルカム・トラストとの新たな提携により、3,000万ポンドの”Inspiring Science Capital Fund”(政府が2,000万ポンド、ウェルカム・トラストが1,000万ポンドの出資)を実現する。英国全土にある科学センターや科学アトラクション展は、当該ファンドの資金を得るため競争入札に参加することができる。この資金は、科学に関心を抱きSTEM職を考えているあらゆる経歴の若者の意欲をかき立てる展示およびインフラの刷新や改装に使用される。

英国は、欧州の枠組みプログラムFP7(2007~2013年)の下で70億ユーロを受領し、EUの研究ファンディングの最大の受益国の一つとなった。現行のプログラムHorizon 2020では資金の15.4%を確保している。これは、16.5%のドイツに次ぐもので、参加機関の数でも2番目に多い。

ニュートン・ファンドは、英国の国際的なパートナーとの学術協力を支援するもので、英国の研究基盤の範囲の拡大のほか、高い科学的目標を有する発展途上国との関係構築を狙う。当該ファンドは2014年に設立され、すでに181件のプログラムがニュートン・ファンドを通じて支援されている。

ニュートン・ファンドは、2015年11月に発表されたスペンディング・レビュー(2016~2020年度を対象とした政府全体の予算計画)で新規に打ち出された15億ポンドの「グローバル・チャレンジ研究ファンド」を補完するものである。グローバル・チャレンジ研究ファンドでは、発展途上国が直面する課題の解決に向けて英国の世界クラスの研究能力を活用する機会を提供することを目指している。

英国政府は上記スペンディング・レビューにおいて、科学予算(BIS予算のうち研究費や人件費に当たる資源予算)を現行の年47億ポンドを実質ベースで堅持する旨約束している。また新たな科学インフラへの記録的な規模の投資も約束しており、69億ポンドを投入する。その結果、2019年度までの科学への投資総額は304億ポンドにのぼる。

(※CaSEとは、科学・工学分野における政府の重要な戦略や政策を、主として議員、公務員、専門家らに説明し政策形成の一助を担う、或いは、重要なテーマについては議会に具体的な提言を出す等の活動を行っている独立チャリティ。)

[DW編集局]