[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2016/01/19
抄訳記事公開日:
2016/04/20

人間の脳とディジタルワールドを繋ぐ埋め込みデバイスの開発

Bridging the Bio-Electronic Divide

本文:

2016年1月19日付の国防高等研究計画局(DARPA)の標記発表記事の概要は以下のとおりである。

DARPAの新規プログラムは、人間の脳とディジタルワールドとの間で史上初の信号分解能及びデータ転送帯域幅を提供できる埋め込み神経インターフェースの開発を目的とする。このインターフェースは、脳内のニューロンが使用する電気化学的言語と情報技術の言語を構成する1と0の世界との間の変換を掌るトランスレータとして機能する。目標は、1立方センチメートルを超えない大きさの生体適合デバイスでこのコミュニケーション・リンクを達成することである。

「神経工学システム・デザイン」(NESD)プログラムは、ニューロテクノロジーの研究能力を劇的に向上させ、新たな治療法の基盤を提供する任務を有する。本プログラムで可能性のある応用分野の一つとして、現在の技術で可能なものよりはるかに高度な分解能と体験品質でディジタルの聴覚または視覚情報を脳に送り込むことで、視覚または聴覚障害を補償できるデバイスがある。

現在ヒトへの使用を認められている神経インターフェースでは、僅か100個のチャネルに莫大な量の情報を押し込むので、各チャネルには一度に数万個のニューロンからの信号が集中する。結果はノイズが多く不正確である。それに対してNESDプログラムでは、脳の与えられた領域にある最大100万個のニューロンのいずれとも、個別に明瞭に通信できるシステムの開発を狙う。

本プログラムの高い目標を達成し、想定しているデバイスが研究以外にも実際に使用され可能性をもてるようにするには、神経科学、合成生物学、低出力電子技術、フォトニクス、医療デバイスのパッケージング・製造技術、システム・エンジニアリング、臨床試験など多数の分野にまたがる総合的なブレークスルーが必要である。ハードウェア上の課題に加えてNESDの研究者らには、高度の数学的神経計算技術の開発が必要とされる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]