[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2016/04/01
抄訳記事公開日:
2016/05/11

広東省科学研究経費の管理を改革、プロジェクトにおける人件費の計上が4割から6割増まで可能

“人头费”可占项目经费40%—60%

本文:

2016年4月1日付の「中国科学報」ネット版は、広東省科学研究経費の管理が改革され、プロジェクトの人件費の計上可能な割合が上げられたと報じた。本記事ではその概要をまとめる。

31日午前、広東省人民代表大会常務委員会は『広東省自主イノベーション促進条例(修正案)』を可決した。同修正案はイノベーション成果の技術移転による奨励金の割合を6割に上げ、プロジェクトの担い手の人件費を30%から40%に引き上げ、ソフトサイエンス研究プロジェクト、社会科学研究プロジェクト及びソフトウェア開発類プロジェクトの人件費の上限を50%から60%に引き上げ、科学研究プロジェクトの経費管理に関する規定を大幅に緩和した。

今年の広東省「両会」(人民代表大会、人民政治協商会議)において、ある科学技術者は「科学研究経費において人的資源に使える金額が少なく、規制が厳しすぎるため、ハイレベル研究者のプロジェクト申請意欲が損なわれた」と提言した。2012年に広東省は全国に先駆けて『広東省自主イノベーション促進条例』を打ち出した。

同条例は広東省で自主イノベーションを促進するための法的環境を提供し、経済と社会発展を促進していた。しかし、新たな発展情勢において、広東省で行われる自主イノベーションがボトルネックに直面している。広東省政府は同修正案で解決策を提出し、広東省の自主イノベーションを推進していく見込みである。

科学技術人材は自主イノベーションを促す根本的な推進力である。しかし、既存の科学経費管理において、モノを重んじてヒトを軽んじる傾向がある。一般的には、人的資源に使う費用が5%を超えてはいけない、特例でも15%を超えてはいけないというふうに規定されている。また、同費用は短期雇用の研究者やスタッフの労務支給にしか使えない。既に研究機関に雇用されている研究者は当該費用から労務費として受領してはいけない。

2012年、『広東省自主イノベーション促進条例』は地方性法規(*)の形式で人件費を30%に引き上げた。これは研究者の積極性を引き出し、自主イノベーションを推進することに役立った。しかし、実際の実施状況から見れば、30%という割合も低いという声がある。

同修正案ではプロジェクトを引き受けた研究機関の正規研究者、短期雇用及びスタッフが人件費の適用範囲内にした。政府財政によらない企業資金による研究プロジェクトに対する経費管理は、政府出資の研究課題と別々に管理を行う。教育機関及び研究機関は受託契約に基づき、研究者は経費に対する支配権を有し、割合の制限を受けない。

(*)地方性法規とは、地方の立法機関が制定・批准した法規であり、地域内でしか法的な効力をもっていない。

[JST北京事務所]