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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国防高等研究計画局(DARPA)
- 元記事公開日:
- 2016/03/16
- 抄訳記事公開日:
- 2016/05/18
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末梢神経刺激による脳の学習能力向上を目指す新規プログラム
- 本文:
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2016年3月16日付の国防高等研究計画局(DARPA)の標記発表の概要は以下のとおりである。
DARPAでは、長い間脳の領域だけに存在すると考えられてきた学習能力を向上させる機能を、身体の末梢神経によって獲得することを狙っている。この取り組みは、脳が末梢神経系に指示を伝えるという通常の概念を覆すものになる。
新規プログラム「標的型神経可塑性訓練」(TNT)では、特定の学習(認知能力訓練)の速度と効果の向上を探る。末梢神経の精密な活性化により、脳内のニューロン結合を促進・強化できるようにする。TNTでは広範囲の認知能力訓練を向上させるためのプラットフォーム技術の開発を進めるが、それにより成果の向上を図ると同時に国防総省の広範な訓練のコストや期間を削減することを目標としている。
DARPAはこの新規領域の開発に階層的アプローチを採用する考えである。基礎研究においては、神経刺激がシナプス可塑性に及ぼす影響、認知能力学習プロセスが脳内で受ける制御、副作用の可能性を回避しつつ、安全にスキル獲得を加速するためにこれらのプロセスを増強する方法について、より明確でより完全な理解を得ることに重点を置いている。本プログラムのエンジニアリング側では、認知機能を担当する脳領域の可塑性を増強するための末梢神経刺激を実行する非侵襲性デバイスの開発を目標としている。
TNTでは上記の多様な目的を満たすべく、認知神経科学、神経可塑性、電気生理学、システム神経生理学、生物医学工学、ヒューマンパフォーマンス、計算論的モデルなどの広範な背景を有する多分野からなるチームの参加を期待している。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]